ベトナム航空が上場 政府所有株51%に引き下げへ
【ハノイ=大西智也】ベトナム国営のベトナム航空は7日、ホーチミン証券取引所に上場した。政府が現在、同社株の86%を保有するが、今後、段階的に51%まで保有比率を引き下げる方針。ベトナムはアジアの中でも経済が好調に推移している。その状況下、政府は保有するベトナム航空株の放出を進め、同社が上場を通じて国際競争力を身に付け、同国経済に一段の貢献につなげられるよう促す狙いだ。

初日の取引価格は1株4万500ドン(約200円)だった。参考価格の4万600ドンとほぼ同じ水準で、時価総額は約57兆ドンとなった。
同社は、ハノイの未上場株取引市場(UPCoM)に上場していた。ただ透明性や適切な情報開示が一段と求められるホーチミン証取に上場することで、競合する国際的なライバル企業とも戦える体制を将来的に整えていく計画だ。
ベトナムの国内市場は、ベトナム航空のほか格安航空会社(LCC)のベトジェットエアなど主要3社の寡占が続いていた。しかし1月に地元の不動産大手がバンブー航空として参入し、市場の行方が混沌としてきた。4月にはマレーシアのLCC大手、エアアジア・グループが参入計画を白紙に戻すなどの動きも出ている。
ベトナム航空は、国内では新興勢力にシェアを奪われ苦戦が続いているため、上場を機に、今後は特に強みを持つアジアや欧州路線に力を入れる。検討中の米国向けの直行便の就航も、早期に実現させたい考えだ。
一方、ベトナム航空の上場で業務・資本提携関係にあるANAホールディングス(HD)の出方も注目だ。ANAHDは16年にベトナム航空に8.8%を出資した大株主。ベトナム政府は国内の航空会社に対し、外資出資上限を30%に制限するが、ANAHDがさらなる株式の買い増しに動く可能性もあると見て、市場は注目している。
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