2019年7月19日(金)

伊財政赤字、20年3.5%に EUとの合意守れず

ヨーロッパ
2019/5/7 21:11
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【ブリュッセル=竹内康雄】イタリアの財政赤字を巡り、欧州連合(EU)との対立が再燃しそうだ。EUの欧州委員会が7日発表した経済見通しで、イタリアの国内総生産(GDP)比財政赤字は2019年で2.5%、20年に3.5%となり、EUとの合意を守れないことになる。欧州委は20年に付加価値税(消費税に相当)を予定通り引き上げて財政規律を維持するよう促すが、伊政権は慎重だ。

イタリアのコンテ首相は景気回復に歳出拡大が必要だと主張してきた=ロイター

欧州委と伊政府は18年末、19年の伊予算の承認を巡って対立した。EUには域内の財政規律や通貨ユーロの信認を守るため、各国が財政赤字を3%に抑えるルールがある。ポピュリズム(大衆迎合主義)的なコンテ政権は歳出削減や増税などの負担増に慎重で、財政規律は緩みがちだ。19年予算も当初案では赤字が膨らむ内容だった。

ユーロ圏3位の経済大国の財政規律が緩んではユーロ圏全体に影響が出かねないと判断した欧州委は、過剰財政赤字是正手続きに基づく制裁を準備した。結局、18年12月に伊政府が譲歩し、19年の財政赤字を2.04%、20年は1.8%とすることで合意。制裁の発動は見送られた。

ただこの数値も高めの成長率や税収をもとにつくられた。欧州経済の減速感は強まっており、伊政府は4月、19年の成長見通しを1.0%から0.2%に引き下げた。欧州委の見通しはさらに下回る0.1%とした。ユーロ圏の他国と比べると失業率が高く、域内経済を支えている個人消費はさえない。経済の先行き不透明感から投資や輸出の拡大も見込みにくい。7日記者会見したモスコビシ委員は「弱い成長が財政赤字を膨らませている」と語った。

20年の3.5%はEUの財政赤字の基準を上回る。これは政策変更がない場合を想定した予測で、予定通り伊政府が付加価値税を引き上げれば赤字を大きく圧縮できる可能性が高い。欧州委は経済見通しで付加価値税の引き上げは「よい財政状況につながる」と指摘し、コンテ政権に対応を促した。

だが伊政府は「付加価値税とは別の税収確保の方法を考えたい」(トリア経済・財務相)と、国民に痛みを強いる増税には消極的だ。加えて国有資産の売却が計画通りに進んでいない。伊政府は保有する企業の株式など2兆円超の資産の売却を19年末までに終える計画だったが、実現は難しくなっている。

コンテ政権は低成長から脱却するため、景気刺激策を承認して財政出動を準備しており、財政が好転する兆しはない。財政運営を巡って欧州委がコンテ政権と再び対立するのは確実で、再び制裁を準備する可能性もある。イタリアの連立政権内にもきしみが目立っており、金融市場で不安が拡大する恐れがある。

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