文楽「妹背山婦女庭訓」 大序を98年ぶりに復活上演

文化往来
2019/5/13 6:00
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国立劇場(東京・千代田)で上演中の文楽「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」で、物語の発端を描く「大序」が98年ぶりに復活した。

「大序」を上演することで「妹背山婦女庭訓」の筋が明確になる(写真は2016年4月の国立文楽劇場、国立劇場提供)

「大序」を上演することで「妹背山婦女庭訓」の筋が明確になる(写真は2016年4月の国立文楽劇場、国立劇場提供)

昭和以降は上演時間短縮のため名場面だけを演する「見取り」が主流になり、通し上演の場合でも大序の冒頭に当たる「大内の段」を省略するのが通例となっていた。伝承が途絶えている作品の復曲は国立劇場の重要な役割であり、「大序をすべて上演することで、物語の筋がより明確になる」(制作部の吉矢正之さん)という。

「大内の段」を最後に上演したのは大正10年(1921年)の御霊文楽座だが、当時の資料によると、既に省略された形で上演されいた。そのため完全な復曲は難しかったが、今回は明治期に竹本浪花太夫による朱(書き込み)があることがわかり、太夫の豊竹呂勢太夫と三味線の鶴澤藤蔵が復曲を担当。公演では若手太夫と三味線奏者4組が順繰りに演奏する。

「妹背山婦女庭訓」は「仮名手本忠臣蔵」など文楽の三大名作に匹敵する作品とされる。皇位簒奪(さんだつ)をたくらむ蘇我氏を、中大兄皇子と藤原鎌足が滅ぼした大化の改新をベースに、吉野川を挟んで対立する二家の子どもたちの悲恋や、恋人のために犠牲になるお三輪の物語などが絡み、聞きどころ、見どころが多い。27日まで。

(小国由美子)

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