2019年6月19日(水)

米、軍事圧力強める 中東に空母派遣 北極圏で演習

トランプ政権
北米
2019/5/7 19:00
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【ワシントン=中村亮】トランプ米政権が世界で軍事的圧力を強めている。イランの影響力を抑えるため、原子力空母や爆撃部隊をペルシャ湾付近に派遣する。中国による軍事拠点化を疑う北極圏では、軍事演習を拡充する。ペンス副大統領らは「力による平和」を掲げて米軍の存在を誇示するが、トランプ大統領は米軍の海外活動を縮小する意向を示しているだけに、圧力路線がどこまで継続するかは不透明だ。

ボルトン米大統領補佐官は対イラン強硬派として知られる(1日、ワシントン)=ロイター

本格的な米ロ外相会談は2018年7月以来となった(6日、フィンランド北部)=AP

「確かな情報に基づくイランの脅威に対抗する」。シャナハン国防長官代行は6日、ツイッターで新たな戦力の派遣をこう説明した。米メディアによると、イラン傘下の武装勢力などがイラク駐留の米軍に対して攻撃を計画しているとの情報がイスラエルから寄せられた。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を中心とする安全保障チームが緊急会議を開いて空母派遣などを決めた。

新たに派遣するのは「空母打撃群」と呼ばれる海軍部隊だ。空母やミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、原子力空母などで編成する。爆撃部隊には核兵器を搭載できる戦略爆撃機が含まれる可能性がある。米戦略国際問題研究所(CSIS)のアンドリュー・ハンター上級研究員は「中国やロシア対策に割いていた部隊を中東に振り向けることになり即応能力が高まる」と分析する。

トランプ政権の速やかな対応には2018年9月の教訓がある。イラン傘下の武装勢力がイラクの米大使館周辺に迫撃砲弾を撃ち込み、米政権内に緊張が走った。ボルトン氏は国防総省にイランに対する軍事作戦を立案するよう指示したが当時のマティス国防長官らの反対にあい、具体的な行動は起こさなかった。

北極圏でも米軍の活動を活発化させる。ポンペオ国務長官は6日のフィンランドでの演説で、中国が民間利用を目的として整備する沿岸部での港湾や通信施設は「軍事転用の可能性がある」との見方を示した。領有権を主張して軍事拠点化を進めた南シナ海をあげて「北極海を新たな南シナ海にしてはならない」と訴え、中国の台頭に懸念を表した。

ポンペオ氏は対抗策として軍事演習や沿岸警備を拡充し、砕氷船の建造を進める考えを表明した。北極航路の開拓や資源開発は将来的な経済成長に直結することもあり、米国や中ロの競争が激しくなっている。

さらに米海軍の駆逐艦2隻は6日、中国が領有権を主張する南沙(スプラトリー)諸島周辺で「航行の自由作戦」を実施した。中国が実効支配する赤瓜(ジョンソン南)礁やガベン礁の12カイリ(22キロ)以内を航行した。トランプ氏の中国製品に対する関税引き上げ表明と呼応して作戦を実行し、中国に圧力をかけたとの見方が出ている。北極圏でも航行の自由作戦を実施する計画が浮上する。

ペンス氏は2月、ドイツでの演説でトランプ政権は「力による平和」を目指す考えを示した。圧倒的な軍事力で敵国を圧倒し外交交渉を有利な立場から進める発想だ。17年12月にまとめた国家安全保障戦略でも中国とロシアを修正主義勢力と位置づけ、核戦力やミサイル防衛を強化する方針を打ち出した。

だがトランプ氏の方針は揺らぎやすい。18年12月にはボルトン氏や当時のマティス国防長官の反対を押し切ってシリアからの米軍撤収やアフガニスタン駐留の縮小を指示した。米軍の海外駐留経費を節約したいトランプ氏は米軍の海外活動の縮小に突然カジを切る事態も否定できない。

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