南ア、8日に総選挙 景気低迷、与党に逆風
ラマポーザ改革に審判

2019/5/5 23:15
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【ヨハネスブルク=岐部秀光】南アフリカで8日、任期満了にともなう総選挙の投票が行われる。汚職対策や構造改革を進めるラマポーザ大統領を有権者がどう評価するかが焦点となる。アパルトヘイト(人種隔離)廃止後の1994年に行われた全人種参加選挙から一貫して政権を維持してきたアフリカ民族会議(ANC)には、景気の低迷という逆風が吹く。

総選挙後、議会が大統領を選出する。ANCの議会(下院、定数400)における第1党の地位は揺るがないとみられるが、現有議席の249を大幅に割り込めば、権力闘争が再燃し、改革路線が失速しかねない。

南アは中国、インド、ロシア、ブラジルとともに有望な成長市場として新興5カ国の経済ブロック「BRICS」を結成した。しかし、ズマ前大統領が2018年にスキャンダルで辞任するまで政権を率いた9年間の間に汚職や縁故主義が横行。経済は競争力を大きく失った。

通貨ランドの対ドル相場はこの9年間で半分近くまで下がった。成長率は低迷が続き、中印に大きく差を開けられた。投資家や企業は南ア離れを加速した。非効率な経済の象徴ともいわれる電力会社エスコムは、ずさんな発電計画から、家庭や工場に十分な電力をとどけられない。

ラマポーザ氏はズマ時代の放漫財政を引き締め、ふたたび経済に活力を取り戻そうとしている。発送電分離など電力改革を通じて、エネルギーの安定供給を実現する改革も視野に入れる。

しかし、足元の景気状況はきびしい。失業率はおよそ27%で高止まりする。改革の一部である付加価値税(VAT)引き上げなどの緊縮は、少なくとも短期的に経済に打撃をもたらす。天候不良による農作物の生産減少という不運も重なった。

ANCに対する不満票の伝統的な受け皿となってきたのは、民主同盟(DA)だ。DAの支持層は白人やインド系が多く、国民の大半を占める黒人有権者に支持を広げられていない。若年層に支持を広げ、ポピュリズム(大衆迎合)政党のひとつとみられている経済的解放の闘士(EFF)がANCとDAを追う。

4月下旬の世論調査によると、ANCの支持率は前回14年の選挙での得票率62%を下回る57%。前回22%の票を得たDAは15%と、さらに低迷する。対照的に、前回、6%のEFFは10%と、選挙で躍進の可能性がある。

ANCが議席を大きく減らすと、党内の旧ズマ派が勢いを盛り返し、ラマポーザ氏の追い落としに動くとみられる。単独過半数を得ることができなければ、毛色の異なる中小政党との連立を強いられる可能性もある。

南アは00年代半ばに4~5%の成長を維持していた。アフリカ屈指の洗練された金融市場を持ち、台頭する中間層や若い労働力が強みとされた。しかし、過去5年の2%を下回る成長は市場の期待を大きく下回った。

外国直接投資が低迷するなかでふくらむ経常収支の赤字体質は、新興国危機の震源のひとつとなったトルコと似ている。国際的な金融不安や危機がかんたんに飛び火するリスクを南アはかかえる。

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