2019年5月22日(水)

世界株、高値前に足踏み 急上昇に警戒感も

北米
2019/5/4 7:31
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【ニューヨーク=後藤達也】世界の株価上昇に足踏み感が出ている。景気回復期待が広がる一方で、年明け以降の急ピッチな株高を警戒する投資家も増えているためだ。米国株は先週、利下げ観測の後退から売りが優勢になり、最高値を更新しきれない状況が続いている。

3日の米ダウ工業株30種平均の終値は2万6504ドルと、1週間では38ドルの小幅な下落となった。株価水準は昨年10月に付けた史上最高値(2万6828ドル)に近いものの、買いの勢いは鈍く、なかなか高値を上回れないでいる。

英FTSE100種総合株価指数や仏CAC40指数も4月下旬に今年の高値を付けた後は頭打ちで、先週は小幅安で終えた。中国の上海総合指数は4月中旬の高値比で約6%下落している。

投資家心理のもろさを映したのは1日の米株安だ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が1日の記者会見で「利上げ、利下げのどちらかに政策を動かす強い必要性は現時点でない」と発言すると、ダウ平均は1時間あまりで200ドル強下落した。市場では前のめり気味に年内利下げの思惑が広がっていた分、失望が大きく、株価は翌2日も下落した。

市場はこの数カ月で好材料を次々と織り込んできた。減速が心配された中国景気は、大型減税により年後半には持ち直すとの見方がいまでは大勢を占める。米中貿易交渉も歩み寄りが進むとの期待が高まった。世界の株価が年明け以降、軒並み上昇したのもこうした楽観論が背景にある。

それだけに、新たな好材料がなければ株価がさらに上昇するのも難しくなっている。米投資情報誌バロンズの調査によれば、いまの米株価を「割安」とみる市場関係者は全体の4%と過去10年で最低水準にある。1日のように市場の期待が失望に変わり、株安を招くリスクもある。

株価の下支えとなっているのは米景気の回復力の強さだ。3日発表の4月の米雇用統計で失業率は3.6%と49年ぶりの低さを記録。賃金の伸び率も高く、個人消費を中心に内需は堅調だ。「当面、米景気が減速に向かうリスクは低い」(三菱UFJ銀行ニューヨークの金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏)との見方は根強い。このため株価が大きく調整するとの見方は少ない。

週明け以降の焦点の一つとなるのは米中貿易交渉の行方だ。8日からワシントンで協議を続け、月内に結論が出る見通しだ。市場の期待通り、米中高官から前向きな合意につながる発言が出るかで株価の方向性は左右される。

株式市場はすでに、今年の世界経済の回復をメインシナリオに置きつつある。そのシナリオが確かなものか、慎重に点検していく展開になりそうだ。

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