2019年6月16日(日)

米雇用26.3万人増 4月、失業率は49年ぶりの低水準

トランプ政権
経済
北米
2019/5/3 21:36
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【ワシントン=河浪武史】米労働省が3日発表した4月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は失業率が3.6%と49年4カ月ぶりの低水準となった。景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数は前月比26万3000人増と市場予測を大きく上回った。労働市場は底堅く、米景気の拡大局面は戦後最長の丸10年間に達しそうだ。ただ、貿易戦争で製造業の景況感が弱含み、雇用を下押しする不安もくすぶる。

失業率は前月から0.2ポイント低下し、1969年12月(3.5%)以来の低水準に改善した。就業者数の伸びは3月(18万9000人増)から加速し、市場予測(約18万人増)も大幅に上回った。ヘルスケアや接客業などサービス分野の就業者が20万人増えて、労働市場全体をけん引した。

雇用需給は引き締まっており、平均時給も27.77ドルと前年同月比3.2%増えた。低迷が続いた賃金は2018年後半から9カ月連続で3%台の伸び率を維持し、株高とともに個人消費を後押しする材料になっている。

3月の小売売上高は前月比1.6%増えて、1年半ぶりの高い伸び率を記録した。インターネット通販などの増加を背景に、4月の雇用統計でも卸売業や運送・倉庫業の就業者がそれぞれ約1万人ずつ増えた。

雇用情勢は底堅く、米経済が失速する不安は和らいでいる。1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で3.2%増え、18年10~12月期の2.2%増から再び加速した。米景気は09年7月に始まった拡大局面が丸10年間に近づき、戦後最長(1991年4月~2001年3月)を更新しそうだ。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)は景気拡大局面にもかかわらず、利上げを停止した。パウエル議長は中国や欧州の景気減速を理由に挙げたが、米経済にも海外からの逆風がじわりと吹き始めている。

輸出依存度の高い製造業は海外景気に敏感だ。米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した4月の米製造業景況感指数は、前月から2.5ポイント低い52.8にとどまった。16年10月以来、2年6カ月ぶりの低水準で、企業心理がやや冷え込み始めたことを示している。同指数を構成する5項目のうち「雇用」は5.1ポイントも低下した。

雇用統計でも4月の製造業の就業者数の増加幅は4000人にとどまった。18年中は毎月2万人前後の伸びがあったが、直近は3カ月間を合計しても1万2000人と小幅だ。鉄鋼関税などでコスト増に見舞われる自動車産業は2カ月連続で就業者数が減少した。トランプ大統領が固執してきた製造業の雇用が、貿易戦争のあおりで真っ先に減速する懸念がある。

FRBは19年中の利上げを見送る方針を示しており、パウエル議長も1日の記者会見で「忍耐強さが求められる」と主張した。ただ、20年に大統領選を控えるトランプ氏は利上げ停止だけでなく「1%の利下げ」を公然と要求する。パウエル氏は「現時点で利上げ、利下げのどちらかに動く強い必然性はみられない」と早期の利下げを否定したが、それは雇用拡大が続くとみるからだ。

雇用の底堅さは、市場の利下げ観測をひとまず和らげそうだ。ただ、米経済は物価上昇率が5カ月連続で目標の2%を下回っている。2%のインフレ率を回復するには、就業者の伸びを維持して賃上げ圧力を一段と高める必要がある。世界景気を大きく左右する米金融政策の動向は、米雇用の持続力にかかっている。

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