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フェイスブックが過激主義者ら排除 「選別」に議論も

「暴力と対立あおった」

【ニューヨーク=中西豊紀】米フェイスブックは2日、極右思想や反ユダヤ主義の投稿を繰り返すネット上の有名人らを同社の交流サイト(SNS)から排除したと発表した。暴力や対立の温床になると判断したため。表現の自由を重んじる米国だが、最近はSNSの社会的な責任を問う声も強まっている。投稿の監視ルールなどを巡って今後議論も起きそうだ。

排除対象になったのは超保守派メディア「インフォ・ウォーズ」を運営するアレックス・ジョーンズ氏やアフリカ系アメリカ人によるイスラム運動組織を率いるルイス・ファラカーン氏、新極右の論客として知られるマイロ・ヤノプロス氏など。フェイスブックは「思想信条に関係なく、暴力と対立をあおったため」と排除の理由を説明している。

これら有名人は今後フェイスブックや写真共有サイトの「インスタグラム」でアカウントをつくることができなくなる。それぞれの個人と関連があるサイトを使っての投稿も禁止となる。

いずれの有名人も過激な発言で市民団体などが問題視しており、フェイスブックとして厳しい措置を決めた。ジョーンズ氏とヤノプロス氏は人種差別者で反イスラム主義の人物を番組で取り上げたり、礼賛したりしたことを問題視した。ファラカーン氏は年初に反ユダヤの発言を繰り返したという。

20億人超のユーザーがいるフェイスブックからの締め出しは、同社のSNSで情報を拡散してきた対象者にとっては痛手だ。一方で憲法で言論の自由が保障されている米国で、私企業による「発言者」の選別は議論も呼ぶ。

今回、排除の対象となった新極右で知られるポール・ジョセフ・ワトソン氏は「何らルールを破ったことはない。一部のシリコンバレー企業による社会の監視だ」との反論を自身のツイッター上に出した。一方で「暴力の喚起は憲法では保障していない」(アメリカ自由人権協会=ACLU)などの理由からフェイスブックの対応を支持する声は多い。

今後、焦点になりそうなのがフェイスブックがつくる投稿ルールやその行使の透明性だ。ACLUの弁護士は米メディアの取材に対し「フェイスブックは社会のチェックを受けずに20億人のユーザーに権力を行使している」と述べている。フェイスブックのさじ加減ひとつで世界規模でのコンテンツの流れが変わる時代だ。

今後、焦点になりそうなのがフェイスブックがつくる投稿ルールやその行使の透明性だ(ザッカーバーグCEO)=ロイター

今回、フェイスブックは「(テロ活動や殺人などにかかわる)危険な個人や組織」のSNSでの活動を禁じる社内のコンテンツ規定に従って排除対象を決めたとしている。同規定は思想の内容ではなく、人種や国籍などを基にした暴力や対立につながるかを判断の基準に置いている。

一方でこうした規定の作成過程はブラックボックスだ。フェイスブックは「2週間に1回、200人規模でコンテンツ規定の内容を日々精査している」としているが、いまやそこでの議論はネットを流れる言論のあり方にも影響を与える。プライバシー保護の問題に揺れる同社だが、ネットの健全性を守るという点でも責任の重さが増している。

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