2019年6月25日(火)

ベネズエラ国防相、野党と接触認める 「買収断った」
マドゥロ大統領の追放めぐり

中南米
2019/5/3 7:22
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【サンパウロ=外山尚之】政情が混乱する南米ベネズエラのパドリノ国防相は2日、野党陣営と接触していたことを認めた。米メディアが1日、同氏が野党陣営幹部とともに、マドゥロ大統領の追放について水面下で議論していたと報じていた。パドリノ氏は「彼ら(野党陣営)はばかげた申し出とともに私を買収しようとした」と述べ、マドゥロ氏へ忠誠を表明。自らの疑惑の火消しに追われた。

2日、パドリノ国防相(左)とともに軍施設を訪れるベネズエラのマドゥロ大統領(中)(カラカス)=ロイター

2日、パドリノ国防相(左)とともに軍施設を訪れるベネズエラのマドゥロ大統領(中)(カラカス)=ロイター

パドリノ氏は2日、マドゥロ氏とともに首都カラカスの軍施設を訪問。マドゥロ氏が険しい表情で見つめる中、「(買収は)軍人の誇りを傷つける」と演説し、野党陣営の提案を断ったと強調した。

表面上は盤石の独裁体制を築いたかのように見えるマドゥロ氏だが、米国の経済制裁で外貨獲得手段を断たれ、経済状況は厳しい。今後も権力を掌握できるかどうかは軍部の動向次第となっており、今回のパドリノ氏の「告白」は波紋を広げそうだ。

野党指導者のグアイド国会議長は軍部に政権から離反するよう促しており、4月30日には軍人に蜂起を促す事実上のクーデターを決行。同計画は不発に終わったものの、パドリノ氏と秘密裏に連絡を取り合っていたことを明らかにし、マドゥロ政権と軍部を揺さぶる。

一方、野党陣営も政権奪取に向けた道筋は見えていない。ベネズエラで活動する非政府組織(NGO)のプロベアは2日、過去2日間の治安機関と反政府デモの衝突で少なくとも4人の死者が発生したと発表した。今年に入り、抗議活動に対する弾圧で57人が死亡したという。

マドゥロ政権の影響下にある裁判所は2日、グアイド氏とともに軍部に決起を促した野党指導者のレオポルド・ロペス氏に対する逮捕状を出した。同氏は現在、家族とともにスペイン大使館で保護されている。スペイン大使館は身柄引き渡しを拒否した。ロペス氏は同日夕方に報道陣の取材に応じ、政治亡命の申請はしないものの、当面は大使館にとどまる意向を示した。

与野党の対立が先鋭化する中、リオデジャネイロ連邦大学のアリアナ・ロデル教授は「米国やロシアの介入で事態は複雑化しており、情勢が早期に解決するとは思わない」と分析する。「仮にグアイド氏が権力を握ったとしても、政権支持者が黙っておらず、衝突のリスクがある」と述べ、国連などの国際機関による仲介が必要との認識を示した。

マドゥロ政権に批判的な米州諸国が集まる「リマ・グループ」は3日にペルーの首都リマで緊急会合を開催する。マドゥロ政権に対する圧力を強める動きで、流出ペースが加速しているベネズエラ難民問題についても議論する。

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