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「牝馬の時代」彩る名馬 活躍後めぐり様々な思い

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2019/5/4 6:30
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牡馬にも似た状況がある。牡牝問わず、凱旋門賞のような舞台は「繁殖価値極大化ゲーム」の主戦場だが、NFを始め国内有力牧場は、基本的に一流種牡馬を海外に売らない。凱旋門賞を勝った場合、種牡馬価値の高騰が痛しかゆしだ。NF自体が大型生産者で、高い種付け料は生産コストにはね返る。自家生産で完全売却したディープインパクトの種牡馬シンジケート価格が51億円にはね上がった経緯が、NFにはトラウマとなっている。

クイーンエリザベスステークスを制したウィンクス(左)は33連勝、G1で25勝の大記録を達成し花道を飾った=共同

クイーンエリザベスステークスを制したウィンクス(左)は33連勝、G1で25勝の大記録を達成し花道を飾った=共同

日本や欧州では、引退後もにらんだ様々な思惑が一流馬の進路を決める。だが、「所変われば」で、オーストラリアでは別世界のような物語が大団円を迎えた。現地表記で7歳、北半球の数え方なら8歳の牝馬ウィンクスが、クイーンエリザベスステークスを快勝。4シーズンにわたる連勝記録を何と33に伸ばし、25個目のG1タイトルを手にした。

ウィンクス、世界最高の通算21億円

13~14年シーズン(同国の競馬は秋春制)末にデビューし2連勝。続く14~15年シーズンは10戦4勝でシーズン最終戦のクイーンズランド・オークスでG1初制覇。翌15~16年シーズンからは7~8回ずつ走って負け知らず。25のG1には同国を代表する2000メートル戦、コックスプレート4連覇なども含まれており、通算獲得賞金は2645万1174豪ドル(約21億1600万円)。世界最高となった。

オーストラリアは検疫手続きが厳格なこともあり、馬の行き来が少ない。ウィンクスも結局、門外不出の名馬としてキャリアを終えた。以前、同国には25戦全勝でG1を15勝した短距離女王ブラックキャビア(13歳)がいたが、同馬は英国でG1を1勝。ウィンクスの引退レースで2着に入った日本馬クルーガー(牡7)はG1勝ちもなく、普段の対戦相手がさほどは強くなかったようだ。ただ、連勝中は楽勝ばかり。4シーズンに渡って、体調を維持した点はすごい。

哲学の違いといえばそれまでだが、牡牝問わず前哨戦パッシングが目立つ日本の現状を見ると、ウィンクスのタフぶりには頭が下がる。欧州でも13、14年凱旋門賞連覇のトレヴが15年に3連覇に挑んで4着。今年は5歳のエネイブルが3連覇に挑む。アーモンドアイの「撤退」が惜しまれる理由である。

(野元賢一)

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