レーシングワールド

フォローする

「牝馬の時代」彩る名馬 活躍後めぐり様々な思い

(2/3ページ)
2019/5/4 6:30
保存
共有
印刷
その他

名前を挙げた5頭のうち、5歳時に出走しなかったのはダイワスカーレットのみ。ウオッカとアパパネは6歳まで走り、走った実戦は26戦と19戦を数える。5歳の有馬記念で現役を去ったブエナビスタ、ジェンティルドンナもそれぞれ23戦と19戦を走り、海外遠征もした。

競走生活で強い負荷がマイナスに?

かつての歴代級牝馬で産駒も活躍した例としては、97年天皇賞・秋を含めG1で2勝のエアグルーヴ(19戦9勝)が、アドマイヤグルーヴ、ルーラーシップとG1馬を出した。前者は繁殖入りして2冠馬ドゥラメンテを送り、後者も種牡馬として菊花賞馬キセキを出すなど、華麗な血脈を構築しつつある。近くは05年オークス優勝のシーザリオか。14年ジャパンカップ優勝のエピファネイア、15年の2歳王者リオンディーズ、今年の皐月賞馬サートゥルナーリアと、早くもG1馬3頭が出た。エアグルーヴと違い、シーザリオは通算6戦5勝。3歳でターフを去った。

競走生活で強い負荷を受け続けると、引退後にマイナスになるという見方は、競馬界で広く信じられている。エアグルーヴのような例外もあり、科学的な検証は難しいが、今年の桜花賞馬グランアレグリアを管理する藤沢和雄調教師は「牝馬の方がまじめ」と話す。確かに、歴代級の牝馬は堅実で、不可解な負け方が少なかった感はある。また、牝馬特有の発情期には実戦で集中力を欠くとされるため、管理する側がホルモン操作をすることもあるという。繁殖入り後に影響が出ないのか、気になるところだ。

ドバイ・ターフで優勝したアーモンドアイは仏G1の凱旋門賞を回避した=ロイター

ドバイ・ターフで優勝したアーモンドアイは仏G1の凱旋門賞を回避した=ロイター

では、アーモンドアイの凱旋門賞回避は、引退後を考慮した判断だったのか? 結論的に言えば、関連は薄かったと思われる。馬主のシルクレーシングが4月17日に米本昌史代表名で発表した文書は、凱旋門賞が「これまでの本馬の経験上、コース・距離・斤量、そして初めての環境と全てがタフな条件となる」として「ベストのレース選択ではない」としている。文面からも、今後の現役生活に焦点を当てていることがうかがえる。

実際、体調には問題がない模様で、既に安田記念(6月2日)参戦が取り沙汰されている。9連勝中の香港の強豪ビューティージェネレーション(7歳去勢馬)との対決が実現すれば、上半期の世界有数のビッグカードとなりそうだ。

アーモンドアイは4歳5月の時点でまだ8戦。出走間隔も長く、美浦よりは福島のノーザンファーム(NF)天栄で過ごす期間が長い。「一戦による消耗が激しい」ことが理由とされる。確かにそうした面もあるとは思うし、引退後への配慮もなくはないだろう。ただ、トレセンとの関係性という観点で見れば、NF側が自らの管理能力を誇示する「マウンティング」のように見える。

「リスクは低く見返りは多く」が基本

凱旋門賞回避に関しては、同馬の立ち位置から説明する方がわかりやすい。クラブ法人所有の同馬の背後には出資会員がいる(6万円×500口)。出資会員に馬主のような権限はなく、期待できる見返りは競走で稼ぐ賞金しかない。「リスクは低く、見返りは多く」が基本なのだ。

3月末に勝ったG1、ドバイ・ターフは馬場も負担重量(55キロ、凱旋門賞は58キロ)も日本に近く、1着賞金360万ドルは凱旋門賞より高い。また、同馬が繁殖牝馬に転じた場合、産駒はシルクレーシングの募集馬となる公算が大きい。クラブの募集馬の価格は2億円程度が上限というのが相場観で、価値を上げても、募集価格への反映は難しく、「限界効用」に達しているのだ。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

競馬のコラム

電子版トップスポーツトップ

レーシングワールド 一覧

フォローする
長期遠征で英国のG1、ナッソーステークスを勝ったディアドラ(左)は次戦の結果次第で凱旋門賞出走も検討する=共同共同

 2019年は日本調教馬が積極的に海外へと遠征している。短期の遠征が多いのはもちろん、各地を転戦して英国でG1を勝ったディアドラ(牝5、栗東・橋田満厩舎)のように、長期にわたって遠征し、結果を出す馬も …続き (8/24)

「初代アイドルホース」として人気を博したハイセイコー(JRA提供)JRA提供

 2005年の3歳三冠を含めて現役時代にG1を7勝し、種牡馬(しゅぼば)としても中央のG1勝ち馬37頭(49勝)を輩出したディープインパクトが7月30日、17歳でこの世を去った。今年3月から首の不調の …続き (8/10)

降級廃止で1勝クラス、2勝クラスでは3歳馬が好成績を上げている(14日、中京競馬場)

 この夏、中央競馬に大きな制度改革があった。一定の条件に該当する4歳馬を下のクラスへと異動させる「降級制度」が廃止された。夏競馬が始まって2カ月ほど。廃止に伴う変化はすでに表れ始めている。ほかにも3歳 …続き (7/27)

ハイライト・スポーツ

[PR]