2019年6月18日(火)

日本企業2社の資産売却申請 元徴用工訴訟で原告側

朝鮮半島
2019/5/1 14:52 (2019/5/1 18:27更新)
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【ソウル=恩地洋介】日本企業への賠償命令が相次ぐ韓国の元徴用工訴訟で、原告側の弁護士は1日、差し押さえた日本製鉄不二越の韓国内資産を売却する命令を出すよう裁判所に申請したと明らかにした。一連の訴訟を巡り、原告側が企業の資産売却手続きに着手するのは初めて。企業の不利益が確認された場合、日本政府は対抗措置に踏み切る可能性がある。

3月に元徴用工訴訟の弁護団が開いた記者会見(韓国・光州)=共同

3月に元徴用工訴訟の弁護団が開いた記者会見(韓国・光州)=共同

裁判所の決定と企業への売却命令書の送達には、一定の時間が必要とみられる。原告側は「実際の売却までには3カ月以上かかる」との見方を示した。「被害者への謝罪と協議に応じるよう希望する」とも述べており、売却完了までに判決を受け入れるよう企業に圧力をかける狙いもある。

原告側が1日に売却命令を出すよう裁判所に申請したのは、日本企業が持つ韓国合弁企業の株式。日本製鉄の場合は、韓国鉄鋼大手ポスコとの合弁会社「PNR」の株式19万4千株を売却し、9億7千万ウォン(約9300万円)の現金化をはかるとしている。日本製鉄は同日、「実害が生じかねず、極めて遺憾」「引き続き政府に相談し、適切に対応していく」とコメントした。

不二越については上告審の判決が出ていないが、裁判所は同社が韓国企業と合弁で設立した「大成・NACHI油圧工業」の株式7万6千株の仮差し押さえを3月に決定した。売却で7億6千万ウォン(約7300万円)の現金化を想定している。

原告側は三菱重工業に関しても、4月24日付で韓国資産の開示請求手続きを取った。すでに商標権と特許権を差し押さえたが、他にも差し押さえ可能な資産がないか調べる目的だ。裁判所が資産の提示を命じ、それに応じない場合は韓国内での金融取引に制約が生じ得るという。日本製鉄に対しても3月に同様の手続きを取っている。

原告側の動きを受けて日本政府は1日、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長が在日本韓国大使館の次席公使に「日本企業の資産が不当に売却される事態となれば断じて受け入れられない。事態を深刻に捉えている」と電話で抗議。韓国政府に一連の訴訟への早急な対応を重ねて求めた。

2018年10月に韓国大法院(最高裁)が日本製鉄(当時・新日鉄住金)への賠償命令を確定させてから半年が経過した。日本政府は1965年の日韓請求権協定で、元徴用工問題は「解決済み」との立場だが、韓国側は対応策を示していない。原告側はこの間、資産売却手続きの他にも、日本企業を相手取った追加訴訟を起こしている。

日本政府はかねて韓国側に「あらゆる選択肢を検討している」と通告してきた。日本政府関係者は「企業に不利益が及ぶことになれば、何らかの対抗措置を取らざるを得ない」との認識を示している。

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