2019年6月20日(木)

退位控え、感謝の角突き 新潟中越地震被災地で

2019/4/28 19:06
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2004年10月の新潟県中越地震で大きな被害があった旧山古志村(現長岡市)で28日、天皇陛下の退位に合わせ、国の重要無形民俗文化財「牛の角突き」の特別場所が開かれた。

 天皇陛下の退位に合わせて披露された「牛の角突き」(28日午後、新潟県長岡市)=共同

天皇、皇后両陛下が復興状況視察の際、闘牛の稽古を見学された縁があり、当時案内役を務めた山古志闘牛会の松井富栄会長(37)は「感謝の気持ちを表したい」との思いで臨んだ。

旧山古志村は最大震度7を記録した地震でライフラインが途絶え、一時全村避難を強いられた。松井さんは翌05年、就職先の青森県から戻り、当時闘牛会の会長だった父の下で牛舎の復旧や闘牛用の牛の世話に尽力。地震で多くが死に、後に病気で命を落とす牛も増え「何としても牛を守るために必死だった」と振り返る。

両陛下の訪問は08年9月。松井さんによると、角突きの稽古を披露した2頭はいずれも地震で被災し、1頭は村からヘリコプターで運び出し、もう1頭は山道を3日間歩かせ避難させた牛だった。

両陛下から受けたねぎらいの言葉の中で「大変な中、文化を守ってくれてありがとう」との一言が、特に心に残っているという松井さん。「大きな励みになった。10年以上たった今でも忘れることはない」とほほえむ。

28日の特別場所の客席はほぼ満席。闘牛会メンバーの「よした」の掛け声とともに牛がぶつかり合うと、会場は大きくどよめいた。取組の中で、松井さんは両陛下が稽古を見た2頭と同じような体格の牛を闘わせ、当時を再現しようとした。

「地震の直後は、どうやって角突きを続けようかと思ったが、両陛下の励ましをいただき、何とか続けることができた。これから次の時代も、伝統を守っていきたい」。場所を終えた松井さんは、力強く語った。〔共同〕

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