2019年8月18日(日)

去らぬ脅威、銃撃・爆破続く、スリランカテロ1週間
政府「観光客30%減る」、外貨不足のリスクに

2019/4/28 18:56
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【ニューデリー=黒沼勇史】スリランカの最大都市コロンボの高級ホテルや各地の教会で21日に連続自爆テロが発生してから1週間が過ぎた。政府は次なるテロを警戒し、全土で過激派を捜索するが、爆破や銃撃戦も続き、治安の改善にはほど遠い。渡航中止の勧告を出す国が相次いでおり、スリランカ政府は観光客が30%減ると予想する。同国は事件前から対外債務の重さにあえいでおり、外貨不足のリスクが高まりそうだ。

27日、スリランカ最大都市コロンボでテロ続発を警戒する治安部隊=ロイター

スリランカ警察や軍は27日までにシリア人、エジプト人を含む約100人を逮捕した。ただ事態の沈静化は遠い。特殊部隊が26日、東部サインタマルトゥでテロ関与が疑われる過激派組織の関係者の潜伏先に踏み込んだ際には銃撃戦となり、子供6人を含む15人が死亡した。25日にはコロンボ近郊の裁判所付近でも爆発が起きた。

高級ホテルがテロの標的になり外国人も多く犠牲になったため、スリランカへの渡航自粛を国民に求める国も出てきた。英国は26日、インドは27日に不要不急の渡航中止を勧告し、中国も自粛を求めた。米国は26日に警戒レベルを4段階の上から2番目の「渡航の再検討を」に1段階上げた。

スリランカを訪れる外国人旅行者は2018年に233万人だった。上位はインド、中国、英国の順で、印中英で40%を占める。こうした国々の渡航中止勧告を受け、サマラウィーラ財務相は27日、地元記者団に「今年は観光客が30%減る」との見通しに言及した。

貿易赤字国であるスリランカにとって、18年に43億ドル(約4800億円)を超えた観光収入は、出稼ぎ労働者の送金に次ぐ外貨の稼ぎ手だ。一方、中国からの投資資金などで賄ったインフラ整備で膨らんだ対外債務は520億ドルに上り、その返済も迫られている。

中央銀行によると、外貨準備高は1月末時点で輸入の4.8カ月分にとどまり、観光収入が激減すれば外貨不足に陥るリスクが高まる。テロ続発懸念を背景に、スリランカ通貨ルピーの対ドル相場は26日、続落した。

シリセナ大統領は27日、国内過激派「ナショナル・タウヒード・ジャマア」(NTJ)と「ジャミヤトゥル・ミラトゥ・イブラヒム」(JMI)を非合法化したと発表した。日本人1人を含め250人以上が死亡した21日の自爆テロに関係があると判断した。過激派組織「イスラム国」(IS)が23日に犯行声明を出していたが、政府はISが支援し、NTJやJMIがテロを実行したとみる。

21日のテロを巡っては、インドの情報機関が4日以降、複数回、スリランカ側に警戒情報を提供していた。ただシリセナ大統領とウィクラマシンハ首相の間の政治対立も一因となり、テロを防げなかった。政府・治安当局内でのテロ情報共有の見直しという課題も浮き彫りになっている。

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