2019年6月17日(月)

1億円・ゆるキャラ・寄付…迷走の地方創生(平成って)

2019/4/27 11:32
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地方の衰退が進んだ平成の30年間は、地方創生を模索し続けた時代でもあった。平成初期の「1億円事業」に始まり、ゆるキャラ、ふるさと納税――。打開策が次々に生まれたが、奇抜な事業が乱立したり、国と地方が対立したりと思うように進まなかった。地方の衰退に歯止めがかからないまま、令和の新時代へと課題は引き継がれる。

「純金のこけしがなくなって、来館者は3分の1に落ち込んだ」。青森県黒石市の津軽こけし館の山田拓郎部長は、純金こけしを目当てに多くの人が集まった頃を懐かしむ。

1988~89年の昭和から平成への変わり目に国が各自治体に1億円を交付したふるさと創生事業で、市は純金こけしを購入して展示。しかし財政難で2007年に売却を決め、手放した。今はレプリカが置かれている。

他の自治体でも1億円を活用して地域の目玉を作ろうと、温泉掘削や金塊購入などが相次いだ。村営キャバレー、日本一長い滑り台など珍事業も誕生したが、売却や施設閉鎖、日本一の地位を失うなど多くの地域で効果は続かなかった。

平成中ごろには、ゆるキャラブームが到来した。06年、火付け役とされる滋賀県彦根市の「ひこにゃん」が誕生。役所の堅い印象とゆるさとのギャップが若者を中心に人気となった。

熊本県のくまモンなども登場し絶大なPR効果を発揮。これに続けと全国の自治体がゆるキャラを量産した。10年に始まった「ゆるキャラグランプリ」にはピーク時1700体超が参加した。

乱立したキャラクターはやがて効果を疑問視される。大阪府では14年までに府の関連ゆるキャラが92体まで増加し、知事が「多すぎる」と一蹴し、翌年69体に削減した。残ったキャラも、府の主要キャラ「もずやん」と一緒でないと催事に出られないなど厳しい処遇となった。

平成後半には、ふるさと納税制度をめぐり、国と地方が対立する構図が生まれた。手続きが簡単になった15年ごろから寄付が急増したが、国は高い返礼率や地元と関係ない返礼品を問題視。一方で、大阪府泉佐野市が返礼品に加えてアマゾンギフト券を贈るなど"お得感"で寄付者を引き付けている。

総務省は6月以降、「返礼率を3割以下に抑える」などの基準を守らない自治体を制度の対象外とする。地方を応援する仕組みとして歓迎される一方、国が厳しく規制するまでに混乱が広がり、議論が続いている。

地方創生の施策が迷走する間、地方の弱体化は進んだ。

元岩手県知事で総務相も務めた増田寛也氏が座長を務める日本創成会議は14年、日本の約半数の自治体を20~30代女性が40年までに5割以上減る「消滅可能性都市」と指摘。「増田リポート」と呼ばれて話題を呼んだ。全国の高齢化率は17年時点で27.7%。40年には35.3%と推計される。

地方行政に詳しい東海大の河井孝仁教授は「各政策は悪くないが、横並び意識や短期的な考え方で目的を見失う自治体もあった」と指摘。新時代に向けて「人口増を目指せば隣の街と不毛に争うだけ。住民の誇りや関心をいかに高めるかなど地域を維持するための新たな目標の軸が必要だ」と話している。

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