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迫る5G 産業が変わる(3)好みのメニュー、すぐ分析

東京都渋谷区にあるガスト渋谷宇田川町店は、すかいらーくホールディングスが期待を寄せる未来のファミレスだ。特徴は各席のタブレット端末「デジタルメニューブック」。単にメニューの冊子を電子化したのではなく、時間帯や店の立地、その日の天候によってメニューを随時変えることができる。

「将来は来店者一人ひとりの好みに寄り添ったメニューをお示ししたい」。そう語るのはデジタル戦略を担当する和田千弘取締役。今日は風が強いですね、温かい食べ物がお好きなお客様には、こちらのメニューがおすすめです――。高級店でしか実現できていなかった店と客とのコミュニケーションを、すかいらーくは3200店全店に広げたい考えだ。

実現に向けて欠かせないのが、大容量データを高速に送受信できる次世代通信規格「5G」だ。どのメニューで注文を迷い、どんな順番で選んでいるのか。幅広い情報を組み合わせて分析するとなると「現状より何十倍、何百倍の通信速度が必要になる。5Gがなければ、未来のファミレスは実現できない」と和田氏は話す。

これまでは店舗の情報端末で決済などのデータを分析していた。複雑なアルゴリズム処理が求められるようになれば、本部が管理するクラウドシステムに送信して、高度な分析が不可欠になる。

データに基づいたマーケティングは米アマゾン・ドット・コムや米グーグルなどネット大手の独壇場だった。実店舗を展開する小売り・外食業が巻き返す上で、5Gはリアルとデジタルをつなぐ必須の手段になる。

商品をより魅力的に紹介できる拡張現実(AR)を活用した買い物体験の実現のほか、臨場感あふれる360度映像が楽しめる仮想現実(VR)も5Gが後押しする。米調査会社のガートナーはARショッピングを利用する消費者が20年までに世界で1億人に達すると見込む。

従来、小売業は店舗の立地や品ぞろえが競争の主要な軸とされてきた。だが5Gの登場で店舗が顧客に提供する情報のあり方が多様化すれば、「買い物という『体験』の価値が競争軸となる時代になる」とボストン・コンサルティング・グループの森田章パートナーは話す。

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