米成長率3.2%に加速 輸出伸び、内需は濃淡

2019/4/26 21:55
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米株高が個人消費を勢いづかせたが…(ニューヨークの商業施設)=ロイター

米株高が個人消費を勢いづかせたが…(ニューヨークの商業施設)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米商務省が26日発表した2019年1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で3.2%増えた。18年10~12月期の2.2%増から加速し、市場予測(2.0%程度)も大きく上回った。輸出が伸びたほか、在庫の積み増しも成長率の押し上げにつながった。ただ、自動車などの耐久財消費や住宅投資は落ち込みが目立ち、指標には濃淡がある。

1~3月期の実質成長率は巡航速度である潜在成長率(2%弱)も大きく上回った。成長率を押し上げたのは輸出から輸入を差し引いた純輸出だ。輸出は前期比年率換算で3.7%増えた一方、輸入は3.7%減と大きく減少。3.2%の実質成長率のうち1.03%分は純輸出が押し上げた。米経済は関税引き上げを恐れた駆け込み需要で18年後半に輸入が急増したが、1~3月期は貿易戦争の影響が一服した。

内需には濃淡がある。GDPの7割を占める個人消費は1.2%増えた。政府機関の一部閉鎖の影響で伸び率は前期(2.5%)から減速したが、サービス消費などが底堅く伸びた。

だが自動車などの耐久消費財は5.3%減少し、09年10~12月期以来、約9年ぶりの大幅減となった。米自動車市場は信用力の低い個人への「サブプライムローン」で販売台数を伸ばしてきたが、延滞件数が急増して一気に勢いを失った。

企業の設備投資は2.7%増えた。増加は12四半期連続で、大型減税の影響もあって企業投資は底堅い。一方で住宅投資は2.8%減少し、5四半期連続で減った。IT(情報技術)企業が集うサンフランシスコの住宅価格は昨年夏から3%近く下落。住宅市場は12年から回復が続いていたが、調整局面に入った。

在庫の積み増しも成長率の加速につながった。GDP統計上、生産増につながる在庫投資は成長率を押し上げる。1~3月期の在庫増による成長率の寄与度は0.65%分あり、市場予想を上回る高成長につながった。ただ、先行きの在庫調整につながれば、4~6月期以降の成長率を逆に押し下げるリスクもある。

米景気は09年7月に始まった拡大局面が丸10年間に近づき、戦後最長(1991年4月~2001年3月)を更新する可能性が高い。失業率は3%台と半世紀ぶりの水準まで低下。景気の先行きを示す「景気先行指数」も上昇が続き、失速の不安は和らいでいる。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)は景気拡大局面にもかかわらず、利上げを停止した。企業債務(非金融部門)はGDP比で46%に高まり、金融危機前の水準を超えた。米銀の商業用不動産への融資額は7年間で1.5倍に膨らみ、金融危機時(08年秋)より3割も多い。ダラス連銀のカプラン総裁は「債務膨張で米経済は過去になく金利に過敏になっている」と警戒する。

政治リスクも横たわる。米中の貿易戦争は打開へ動きがあるが、トランプ米大統領は航空機メーカー、エアバスなどを標的に欧州連合(EU)製品に制裁関税を課すと主張し始めた。自動車に25%の関税を課す異例の貿易制限も検討しており、貿易問題は簡単に収束しそうにない。

大型減税の効果は19年後半から徐々に薄れる。海外経済の減速懸念も強く、内外需ともこれまで以上の追い風は期待しにくい。米主要500社の1~3月期決算は、11四半期ぶりの減益となりそうだ。底堅さを保ってきた投資や雇用の下振れにつながれば、「一人勝ち」が続いた米景気にも黄信号がともる。

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