2019年9月22日(日)

中国電、前期45%減益、特損・小売り自由化響く

2019/4/26 19:49
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中国電力が26日発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が前の期比45%減の114億円だった。従来予想(66%減の70億円)は上回ったものの、西日本豪雨の影響や子会社の一部事業撤退に伴う特別損失が重荷となった。電力の小売り自由化に伴う販売電力量の減少も響いた。保有する株式の売却益を計上するも、補えなかった。

決算発表する中国電力の清水社長(26日、広島市)

売上高は5%増の1兆3769億円だった。燃料価格の変動を電気料金に転嫁する燃料費調整制度が増収に寄与した。営業利益は51%減の195億円。液化天然ガス(LNG)や原油など燃料価格の上昇で調達コストがかさんだ。

販売電力量は4%減の529億キロワット時となった。同日会見した清水希茂社長は「収益環境は依然として厳しい。海外や新事業も含め、収益源の多様化に向けて取り組む」と話した。

20年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比で微減の1兆3710億円、純利益は2.2倍の250億円を見込む。前期にあった特損がなくなることに加え、資材調達の効率化や減価償却の計上方法の変更でコストが減少する。

通期業績の予想を期初の決算発表で示すのは10年ぶり。同社は島根原子力発電所2号機の再稼働を織り込まない想定で開示した。年間配当は前期比横ばいの50円とした。清水社長は「年度内での再稼働を諦めているわけではないが、審査状況をみると(稼働は)きわどい」と話した。そのうえで「投資家の意見を踏まえ、一定の前提を置いた収益力を発信すべきだと感じた」とした。

■競争激化、転換の可能性も

2016年4月に家庭を含めた電力小売りの全面自由化が始まってから3年あまり。他地域の大手電力会社との価格競争が厳しくなり、中国電力の販売電力量の減少にも響いている。ただ、競合相手の原発稼働の行方によっては「短期的に競争激化の状況も変わる可能性がある」(国内証券)とする見方もある。

原子力規制委員会は24日、テロ対策施設の設置期限に間に合わない原発の稼働を停止する方針を示した。テロ対策施設は原発の詳細な設計をまとめた工事計画を、規制委から認可された日から5年以内に完成させる必要がある。

中国電力の島根原発2号機は工事認可がまだ下りていないため、現時点で直接的な影響はない。一方、同社の営業エリアに攻勢を強める関西電力では再稼働した原発を4基を持つ。いずれも期限に間に合わない見通しだ。

関電の原発が止まれば、火力発電に使う燃料費が増える可能性がある。「業績悪化に伴う電気料金の値上げなど、関電の攻勢が鈍化するとの思惑が市場にある」(国内証券)との声がある。

清水社長は競合他社の具体的な経営内容についての発言は控えたものの、「対抗的な低い料金を展開する消耗戦に入りつつあった」と話した。その上で、「消耗戦は避けた方がいいという認識が社内で出てきている」とした。

中国地方では電力需要の大幅な増加は見込みづらい。中国電にとっては島根原発の再稼働を実現し、火力発電の燃料費を削減することが収益確保の肝になる。競争環境の転換の可能性を指摘する声がある中で、再稼働に向けた投資と、他電力の攻勢を同時にこなせるかが、20年3月期の注目点となりそうだ。

(田口翔一朗)

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