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インドネシア選挙、開票で死者200人超 同日選に批判

過酷な環境、健康チェック甘く

【ジャカルタ=鈴木淳】17日のインドネシア大統領選での選挙スタッフの死者数が当初発表から増え、波紋が広がっている。選挙管理委員会によると、26日時点で開票作業の過労などによる死者は230人、病気になったのは1671人に達した。大統領選と総選挙の同日実施で作業が膨大になり、異例の惨事を招いた。原因として、過酷な環境による長時間労働のストレスや健康状態のチェックの甘さなどが指摘されている。

新興国の選挙では選挙妨害や候補者同士の争いで投票所が襲撃されて死傷者が出るケースは多いが、開票作業で多数の死傷者が出るのは珍しい。

約1億9千万人の有権者のうち1億5千万人超(速報値)が全国約80万カ所の投票所で投票した。大統領選や国会議員選など、各地域で4~5の投票を同時に実施した。単純計算だと、開票作業では全国で6億以上の票をすべて手作業で数えなければならない。

国会の場合、選挙区によっては候補者は100人を超える。ポスター大の投票用紙の確認に手間がかかり、一部で30時間連続での作業が必要になるなど、過度な残業を生んだ。投票箱の運搬などでの交通事故も多発したという。

開票など投票所運営に従事する人の大半は臨時職員で、近隣の人が就く。月に3千~4千円ほどの手当が出るため、定年退職した年配の人や失業中の人などが従事することも多い。だが、通常の公務員と違って採用時の健康診断はなく、早朝まで続く作業によるストレスなどで健康状態を悪くする人が急増した。

投票所は屋外が多く、30度を超える場所での長時間労働による疲弊も指摘されている。

選管は死者1人あたり3600万ルピア(29万円)を見舞金として支払うことを決めたが、これは最低賃金1年分に近い額だ。病気やけがの人にも一定額を出す。選挙運営側に対する不満を未然に防ぐ狙いもありそうだ。

開票で多数の死傷者が出たことで、同日選への批判が高まっている。選挙費用を削減するために大統領選と総選挙の同日選を選択したが、作業が膨大になることに有効な対策を打たず、経費削減が裏目に出た。

国会のバンバン議長は26日、「電子投票で作業を軽減し、経費も下げるべきだ」と述べ、選挙法の改正に意欲をみせた。約1億5千万の有権者がいるブラジルは電子投票を採用するなど新興国でも選挙の効率化は進む。

インドネシア大統領選では、17日に発表された複数の民間開票速報で、現職のジョコ大統領が約55%の票を得て再選を確実にした。選管の公式集計でも開票率36%の段階でジョコ氏が56%の票を獲得し、野党候補のプラボウォ元陸軍戦略予備軍司令官をリードする。

選管は5月22日までに大統領選や国会議員選の最終開票結果をまとめる予定。大量の死傷者が出ても「開票は予定通りに行う」としている。

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