2019年6月20日(木)

エリート養成校廃止・所得減税、デモ対策で仏大統領

ヨーロッパ
2019/4/26 5:33
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【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領は25日、2018年11月から続く反政権デモ「黄色いベスト」を受けた対応策を発表した。中間所得層を主な対象とする約50億ユーロ(約6200億円)の所得減税を打ち出し、22年までに公務員を12万人削減する公約も取り下げる用意があるとした。デモがフランスのエリート層に怒りの矛先を向けていたことも意識し、エリート養成校の国立行政学院(ENA)を廃止する方針も語った。

25日、新たな生活支援策を発表したマクロン仏大統領(パリ)=ロイター

マクロン氏は大統領府で2時間超にわたる記者会見を開き、新たな施策を発表した。マクロン政権はデモを受けて18年12月に最低賃金引き上げなど約100億ユーロの対策を公表していたが、反政権デモはなお続いている。破壊行為などで経済に深刻な影響も出ており、新たな対策でデモ沈静化につなげたい考えだ。

対策の柱となる所得減税の規模(50億ユーロ)は仏国内総生産(GDP)の約0.2%に当たる。どの所得層が恩恵を受けるかは「(フィリップ首相が率いる)政府が決めることだ」として明示しなかった。20年から月2千ユーロ以下の年金をインフレに連動して増やすほか、一部ボーナスを非課税とする税制も恒久化する。

マクロン氏の目玉公約だった公務員の削減も、教育などを充実させるため「夏までに、現実的な目標かどうか検討させる。目標を取り下げる用意がある」と述べ、修正に応じる構えをみせた。

いずれも財政を悪化させる恐れがあるが、歳出削減などでバランスを取ると説明した。税収を増やすため、国民に今よりも長く働く必要があるとも訴えた。

廃止の方針を打ち出したエリート養成校のENAは、マクロン氏をはじめ歴代の大統領ら多くの政治家らが学んだ場で、フランスの権力の象徴としてみられることがある。廃止で「黄色いベスト」運動の背景にあるエリート批判に応える狙いがにじむ。

17年に就任したマクロン氏は企業の活性化と小さな政府を志向し、法人税減税や年金改革を進めた。ただ企業や富裕層を優遇しているとの批判が高まっていた。「黄色いベスト」運動を受け、マクロン改革は軌道修正を余儀なくされている。

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