2019年7月21日(日)

「原則保釈」へ、変わる裁判所 ゴーン元会長事件

日産の選択
2019/4/26 2:00
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日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(65)について、東京地裁は検察側の強い反対にもかかわらず再保釈を認める決定をした。証拠隠滅の恐れがある限り勾留が続く「原則勾留」ではなく、適切な保釈条件を付けてできるだけ保釈を認める「原則保釈」へ。裁判所の変化が改めて浮き彫りになった形だ。

保釈され、東京拘置所を出る日産自動車のゴーン元会長(25日、東京都葛飾区)

保釈され、東京拘置所を出る日産自動車のゴーン元会長(25日、東京都葛飾区)

地裁の保釈決定に対し、東京地検の久木元伸次席検事は25日、「ゴーン元会長が事件関係者への働き掛けを企図していたことを認定し、罪証隠滅の疑いがあるとしながら(地裁が)保釈を許可したことは誠に遺憾」とコメントした。

検察側は地裁に「妻、キャロルさんが事件関係者と接触していた」などと訴え、保釈に強く反対した。オマーンルートの事件ではゴーン元会長の妻や息子が関わる会社に日産の資金の一部が流れた疑いがあり、検察側は「親族が事件関係者。口裏合わせの危険がある」と主張していた。

これに対し裁判所は、ゴーン元会長が妻を通じて事件関係者と接触するのを防ぐため、保釈条件としてキャロルさんとの接触を禁止。他にも、前回の保釈の時と同じ厳しい条件を付けることで、証拠隠滅の可能性を十分に抑制できると判断したとみられる。

起訴内容を否認する被告はなかなか保釈を認められない傾向があり、以前から「人質司法」と批判する声がある。ただ、近年、裁判所は保釈を認める基準を緩和してきており、起訴後に保釈された被告の割合は03年の約12%から17年の約32%にまで上昇している。

元東京高裁部総括判事の三好幹夫・上智大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「弁護人が証拠隠滅などの恐れを排除する環境を整えて保釈を請求するケースが増え、裁判所としても保釈を認めやすくなっている」と指摘する。

今回、東京地裁は争点や証拠を整理する公判前整理手続きの進展を待たず、改めて早いタイミングでの保釈を認めた。刑事訴訟法上は保釈を認めるのが「原則」で、認められないのは証拠隠滅の恐れがある場合などの「例外」との位置づけだ。注目事件における今回の判断は、刑事司法の実務で「原則保釈」がさらに広がる契機となる可能性がある。

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