2019年6月19日(水)

九州FG社長に笠原・肥後銀頭取 協働から融合、新布陣

金融機関
九州・沖縄
2019/4/25 20:41
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肥後銀行と鹿児島銀行を傘下に持つ九州フィナンシャルグループ(FG)は25日、肥後銀頭取の笠原慶久氏を社長とする人事を正式発表した。会長には6月に鹿児島銀頭取へ昇格する松山澄寛氏が就く。九州FG発足から3年半。日銀のマイナス金利政策で地方銀行の経営環境が厳しくなるなか、新たな布陣で両行をどう「融合」していくかが問われる。

新社長に決まり握手する九州FGの笠原氏(左)と上村社長(25日、熊本市中央区)

6月21日の株主総会を経て正式決定する。上村基宏社長(鹿児島銀頭取)と甲斐隆博会長(肥後銀会長)はいずれも取締役として残る。

「一緒にすべきところはして、より強い金融グループを作る」。笠原氏は25日、熊本市内で開いた記者会見でこう意気込んだ。

九州FGは肥後、鹿児島の両行が統合して2015年に発足した。18年3月期には総資産で10兆円を突破し、九州では有数の地銀グループだ。

18年3月期までは「協働ステージ」としていた。熊本地震で被災した肥後銀を鹿児島銀が支援したり、九州FG傘下の証券会社を設立したりしたものの、共通化した部分は限定的。ただ笠原氏は「お互いの信頼関係は深いものがある。これまでは大変うまくいっている」と評す。

19年3月期からの中期経営計画では第2弾として「融合ステージ」を打ち出している。証券業務や、4月から両行で始めた信託業務を強化しながら、フィンテック分野の共同開発のほか、グループ会社や業務システムの統合ができるか模索。笠原氏は「ファンドを活用しながら従来銀行がやらなかった農業や観光、地域商社的な分野で地域に貢献する」とも話す。

取締役として、九州FGに残る上村氏も「ありきたりなサポート役にはならない。決定するのは社長と会長だが、いろんなことを提案していきたい」と説明。新たなステージに入り、金融以外へもウイングを広げていく構えだ。

 問われる統治 収益多様化も課題

前例のない隣県のトップ地銀同士の統合として金融界に衝撃を与えた九州フィナンシャルグループ(FG)の誕生から3年半。強力なリーダーシップとカリスマ性で両行の融合を率いてきた上村基宏社長と甲斐隆博会長が足並みをそろえて、経営の一線から退くことになった。バトンを託された笠原慶久氏と松山澄寛氏に課されたのは、地銀激動期の荒波を乗り越えるべく、九州FGのガバナンス力をいかに高めるかという重い使命だ。

兄弟行として両行の自主性を尊重してきたためグループ統治体制の構築は道半ば。上村氏は「九州FGの各部署が傘下行に物申せる体制にはない」といい、甲斐氏も「より存在感を高めたい」と語っていたという。

人口減や低金利環境の長期化に加え、景気も後退局面に入りそうだ。地銀経営に吹く逆風は強まっている。経営統合で生まれた資源を新たな成長分野に投じ、好循環を生み出さなければ、地銀淘汰の時代を生き残ることはできない。

名実とも全国トップ地銀となったふくおかフィナンシャルグループは本部が強力に主導し、フィンテックや高度なリスク管理体制の構築など攻めの分野に注力している。

新たな仲間と手を組んで、規模をさらに拡大させることも一手。笠原氏は25日の会見で「九州FGが素晴らしい金融機関となれば、おのずと入りたい銀行が出てくるのでは」と語った。明確な統治体制を整えれば九州地銀の覇権争いでも有利になる。

傘下2行が収益のほとんどを稼ぐ現状を踏まえて、銀行トップがFGトップを兼ねる体制は継続した。だが上村氏は収益源を多様化して「(笠原氏の次の体制では)経営が分離する状況にならないといけない」と語る。過渡期からグループをどう成長させるか、笠原・松山体制が果たすべき役割は大きい。(高城裕太、今堀祥和)

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