2019年6月17日(月)

「原発頼み」関電に暗雲 高浜停止で収益圧迫も

環境エネ・素材
関西
2019/4/25 19:21
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原子力発電所の再稼働を受けた関西電力の業績回復基調に暗雲が垂れこめてきた。原子力規制委員会が24日、原発に義務付けたテロ対策施設の完成期限が守れない場合は原則として停止を命ずると決定。関電にも2020年8月の高浜原発3号機(福井県高浜町)から順次期限が到来する。施設完成が間に合わず停止となれば大幅な収益減は避けられない。

関電は、再稼働済みの高浜・大飯の計4基が完成期限に約1年、再稼働を準備している残り3基が期限に1年半~2年半程度遅れる見通しとしている。規制委側から「工事の見通しが甘い」との指摘が出ていた。

岩根茂樹社長は25日の定例記者会見で「建設作業を進めるなかで変更点があり、全力で対応しているがこのような状況になっている」と弁明した。ただ同社には「停止は地域や経済への影響が大きすぎる。規制委もわかってくれる」(関係者)という甘い読みもあったようだ。

東日本大震災前に原発への依存度が高かった関電は震災後全原発が停止。4期にわたり最終赤字に転落、2度にわたる値上げを余儀なくされた。17~18年の計4基の再稼働を踏まえて17年夏、18年夏に値下げを実施。収益改善効果を原資とした値下げで、新電力に奪われていた企業顧客の取り返しを進めていた。

25日発表した19年3月期の連結決算は値下げなどが響き純利益こそ前の期比24%減の1150億円となったが、総販売電力量は8%増の1326億キロワット時と8年ぶりにプラスだった。

規制委の方針はこうした回復基調を大きく変えかねない。まずは高浜3、4号機でテロ対策施設を20年8月、10月までに完成させなければ、順次停止することになる。関電の最新の試算では高浜3、4号機が停止した場合の発電コスト増による収益悪化効果は年1080億円程度だ。

仮に1年停止すれば関電の年間営業利益の半分が吹き飛ぶことになる。工事やその後の審査が遅れ、再稼働がずれこめばさらに損失は膨らんでいく。大飯3、4号機は完成期限が22年8月とまだ先だが、規模が大きいため収益の悪化効果は年1440億円に上る。

岩根社長は原発停止に伴う値上げの可能性を問われ「現時点で考えていない」と答えた。しかし原発停止によるコスト増は細かい経費削減などでカバーできる規模ではない。値上げとなれば関電の競争力は大きくそがれる。

株式市場は収益の先行きへの懸念をすでに強めており、関電の株価は25日に大幅続落した。野村証券の松本繁季アナリストは「規制委の決定は予想外に厳しい印象」としたうえで、原発停止の可能性などを考慮に入れて24日のリポートで投資判断を一段階下げた。

岩根社長は「少しでも工期が短くなるように努力する。一方で代替策も今後考えて規制委に丁寧に説明していきたい」と語った。ただ実際の手段は限られているとみられる。しかしテロ対策施設の建設作業を2交代24時間体制で進めており、人員を増やすのは難しいという。仮に工期の短縮を進めるとなれば7基で約4000億円と見積もっているテロ対策施設のコストが膨らみかねない。

原発再稼働で経営に余裕が出てきた関電は再び大きな試練と向き合うことになった。(中西誠)

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