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野村、10年ぶり赤字 不採算構造を温存 構造改革に遅れ 大和・日興も

金融最前線
金融機関
2019/4/25 22:00
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野村ホールディングス(HD)は25日、2019年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が1004億円の赤字に転落したと発表した。通期で赤字転落は09年3月期以来10年ぶり。08年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザーズののれん代を減損処理したことが大きな要因。ただ、本業では不振が長引く債券売買事業や国内個人営業(リテール)の構造問題にメスを入れるのが遅れた面は否めない。

大和証券グループ本社の最終利益も42.3%減の638億円、SMBC日興証券も45.5%減の347億円だった。構造不況の波が大手証券に襲いかかっていることを浮き彫りにした。

「極めて不本意な決算」(野村の北村巧財務統括責任者=CFO)、「アベノミクスが始まって以来、最も厳しい1年」(大和証券グループ本社の佐藤英二最高財務責任者=CFO)――。

野村は1年前の18年3月期決算で2193億円の黒字を計上していた。赤字額が4ケタに膨らんだのは採算性が悪化した証券事業にメスを入れるのが遅れたためだ。個人営業部門とアセットマネジメント部門もそれぞれ5割前後の減益となった。

大手証券を襲う構造問題の1つは市場部門だ。長引く金融緩和政策による低金利環境で債券売買のトレーディングで収益が激減した。野村の日米欧を中心とした債券等のトレーディング収益は約2300億円で、前の期から1000億円程度減少した。1月以降は米長期金利の変動が大きく、回復可能性はあるものの、債券トレーディングの事業規模について欧州で5割、海外全体で4割を縮小する構造改革に追い込まれた。

2つ目はリテールの不採算構造だ。野村の営業部門の税前利益は前の期から52%減の495億円となり、金融危機当時の水準まで逆戻りした。預かり資産は2倍弱に増え、株式相場も大きく上昇しているのに利益を生まない。大和の個人部門の経常利益も同52%減の246億円と半減した。

追い打ちをかけたのが「回転売買」を控えたこと。金融庁が求める顧客本位の営業に基づき、各社は毎月分配型投信や株式の頻繁な売買を手控えている。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の導入で、投資家に低コストや長期投資の投資先選定の傾向が強まり、株式の売買仲介や投信の販売に伴う手数料収入が減少した。

3つ目はそもそもデジタル化対応に出遅れた危機感の薄さだ。20年前にインターネット証券会社が営業を開始して以降、若い投資家を奪われても、店舗と人を軸に据えた対面販売の事業モデルを改革できなかった。野村は4月に全部門横断でデジタル活用を検討する「未来共創カンパニー」を立ち上げ、LINEと組んで準備を進める合弁証券会社も開業を急いでいる。

しかし、対応策が後手に回った結果、野村は赤字転落した。今後数年かけて30以上の店舗を統廃合し、黒字回復を急ぐことになった。

大和とSMBC日興も無縁ではない。大和の佐藤CFOは「一歩踏み込んだコスト構造の見直しの検討を始めている」と明言。SMBC日興の近藤雄一郎専務も「抜本的なコスト改善を計画している」と踏み込んだ。

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