食品輸出拡大へ体制強化 地方対策の柱に
政府は25日、農産品や加工食品の輸出拡大に向けた関係閣僚会議の初会合を開いた。2019年までに農産品の輸出額を1兆円にする目標の達成が視野に入っており、その先をにらんだ工程表を夏までにつくる。各国が定める衛生基準に対応する体制整備が軸となる。夏の参院選に向けた地方対策の一つに据える。

菅義偉官房長官が議長を務める肝煎りの政策だ。菅氏は会議で「世界の食の輸出市場は150兆円ともいわれている。我が国の農林水産品の輸出はまだまだ大きく伸ばせる」と述べた。
内閣官房や厚生労働省、農林水産省など関係省庁が輸出促進の課題探しに着手する。6月をめどにまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に具体策を盛り込む。
重視するのは食品安全行政の体制強化だ。海外でも「食の安全」への関心が高まり、それぞれの国で独自に輸入管理を厳格化している。今後、輸出を増やすためには、それぞれの管理基準に応じた対策が必要となる。
国内の体制整備も課題だ。米欧や中国、韓国などでは、食品の衛生管理を一元化しているが、日本は輸出と輸入の管理を別々の省庁が担当する。厚労省は輸入品を含む国内に流通する食品規制を担うが、輸出品の衛生管理や事業者の支援は担当外だ。各国との輸出解禁の交渉や、必要な施設整備の支援は農水省が担っている。
日本の18年の農林水産物の輸出額は9068億円で、12年の4500億円から倍増した。19年までに「1兆円」にする目標の達成が視野に入る。農業振興策を充実させることで、夏の参院選での地方票の拡大につなげる思惑もある。