2019年5月21日(火)

スーパー大手の統合阻止、英競争当局 寡占化を懸念

小売り・外食
ヨーロッパ
2019/4/25 17:45
保存
共有
印刷
その他

【セビリア(スペイン南部)=細川倫太郎】英競争・市場庁(CMA)は25日、英スーパーマーケット大手セインズベリーと、米ウォルマート傘下の同業アズダの経営統合を阻止すると発表した。市場の寡占化が加速し、価格の上昇や品質の低下を招くと結論付けた。インターネット通販との競争が激しさを増す小売りの生き残りをかけた大型M&A(合併・買収)は撤回に追い込まれた。

隣り合うセインズベリー(右)とアズダの店舗=ロイター

CMAが25日に発表した報告書は「2社の経営統合は価格上昇や品数の減少につながりかねず、統合を阻止する以外に効果的な方法はない」と指摘した。欧州の景気減速や英国の欧州連合(EU)離脱など経済の不透明感が増す中、CMAは消費者保護を重視した。

英小売り2位のセインズベリーと3位のアズダは2018年4月に経営統合で合意。事実上セインズベリーがアズダを買収する形で、単純合算で連結売上高が約510億ポンド(約7兆3800億円)、従業員30万人以上の巨大流通企業が誕生する予定だった。ウォルマートはアズダの売却によってネット事業に軸足を移すとみられていた。ウォルマートの経営戦略に影響を及ぼすのは必至だ。

統合を巡っては、寡占を警戒する食品会社や農家など取引先が反発。日本の公正取引委員会にあたるCMAは「懸念がある」として合意直後から調査に乗り出していた。今年2月にまとめた暫定報告書では消費者へのマイナスの影響を強調し、経営統合を阻止するか、多数の店舗を売却する必要があるとした。

これを受け、セインズベリーはCMAの分析は間違いだと反論。買収完了から3年目までに年間10億ポンド相当の値下げをすることも約束した。最終報告書に対し、セインズベリーとアズダは上訴できるが、英紙フィナンシャル・タイムズは「その可能性は非常に低い」と報じている。

英国の小売業界ではネット通販や安売りチェーンが勢いを増し、百貨店やスーパーの経営が厳しくなっている。今月には老舗百貨店のデベナムズが管財人の法的管理下に入ると発表し、事実上の経営破綻に陥った。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報