橋田壽賀子(2)ソウル生まれ
両親と離れ「捨てられた」 東京の伯母宅に預けられ
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1925(大正14)年5月10日、私は日本の植民地だった朝鮮の京城(ソウル)で産声をあげた。父菊一34歳、母菊枝が35歳。子宝に恵まれず養子をもらおうかと話し合っている矢先に、結婚7年目でようやく生まれた娘だった。
父は愛媛県今治の漁師の長男だったが、家業を継がずに朝鮮に渡り、そのころは重晶石の鉱山を経営していた。重晶石はバリウムの原料だそうだが、当時どんな使われ方をしていたのか私は知らない。ど...