うちわ・扇子の出荷額 香川首位、土産物が起源
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夏の暑さに涼をもたらすうちわや扇子。経済産業省がまとめた工業統計調査(2016年実績)の「うちわ、扇子(骨を含む)の出荷額」で、香川県は26億円と全国の46%を占めて全国首位だ。僅差で25億円、44%の京都が続く。

香川県丸亀市は全国有数のうちわ産地だ。「丸亀うちわ」の起源は江戸時代、金刀比羅宮の参拝者向けの土産にあるという。現在はプラスチック製が主流で、企業の広告媒体としての需要が多い。07年には香川の出荷額は41億円を超えたが、08年のリーマン・ショック以降、企業が広告費を削減したため減少傾向にある。
同市ではそんな現状を打開すべく、デザインに趣向を凝らした竹うちわの生産を進めている。今年は例年より発注が多く「お気に入りのデザインを求める人が増えた」(同市の「うちわの港ミュージアム」)という。
京都のうちわは南北朝時代、朝鮮のうちわが貴族に伝わり発展したのが起源とされる。こうした来歴から京都のうちわ・扇子は高価な工芸品のイメージが強く、土産用に加えて舞妓(まいこ)が、ひいき客に配る需要もあるという。
産地として異なる歴史を持つ両府県が、全国に涼を届けようと競い合っている。
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