輸出・投資の不振深刻に 韓国マイナス成長

2019/4/25 16:34
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【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の2019年1~3月期の実質成長率が前期比0.3%減と、予想外のマイナス成長に転落した。マイナス成長は5四半期ぶり。輸出は半導体をはじめ主力製品が総崩れの状態で、設備投資にも急ブレーキがかかった。韓国政府は補正予算の編成などで景気の下支えを狙うが、回復が遅れれば文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策への批判が強まるのは避けられない。

緊急関係閣僚会議で発言する洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相=韓国政府提供

緊急関係閣僚会議で発言する洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相=韓国政府提供

「サプライヤーで残ったところはほとんどありませんね」

韓国南西部の群山市――。2018年5月に米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の韓国法人「韓国GM」が撤退した工業団地を訪れると、辺りはしんと静まりかえり、まるで抜け殻だった。その一角でわずかに稼働しているようにみえた工場を見つけたので門をたたいた。すると経営者が出迎え、男は疲れた表情でつぶやいた。

「製造業は、もううんざりだ。でも社長が逃げ出すわけにもいかないだろ」

韓国経済の厳しさが日に日に増している。韓国政府は25日、関係閣僚を緊急招集した。洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は「世界経済が当初の予想より大きく鈍化している」と説明。閣僚らに「あらゆる政策を動員し、成長率目標の達成を」と発破をかけた。

マイナス成長となった主因は名目GDP(国内総生産)の4割強を占める輸出の落ち込みだ。3月の輸出額は前年同月比8%減で、4カ月連続で減少した。輸出の2割を占める主力の半導体は17%減。他にも自動車が1%、鉄鋼が5%、スマートフォン(スマホ)など無線通信機器が32%それぞれ減った。

背景には中国企業の台頭がある。中国勢の増産による価格下落が各社の収益を圧迫しており、サムスン電子とLGディスプレーは1~3月期、ディスプレー事業が赤字に転落する見通しだ。スマホも世界シェア首位のサムスンは華為技術(ファーウェイ)や小米(シャオミ)など中国勢の伸長で中国市場でのシェアをほぼ失った。

自動車も厳しい。現代自動車はもともと世界最大の中国市場で独フォルクスワーゲン(VW)やGMに続き、販売が強かった。だが特にこの1~2年間は、実力をつけてきた中国メーカーの攻勢で勢いを失っている。利益を度外視した大幅な値下げで対抗姿勢も見せるが、1~3月期の中国販売も前年割れとなった。

輸出の不振で企業は先行きへの不透明感を強め、設備投資を絞っている。1~3月期は前期比10.8%減と、通貨危機に見舞われた1998年1~3月期(24.8%減)に次ぐ大幅なマイナスとなった。

輸出と設備投資の不振で企業業績が悪化すれば影響は雇用に及び、個人消費を冷やす悪循環を招きかねない。危機感を強めた韓国政府は25日、総額6兆7000億ウォン(約6500億円)の補正予算案を国会に提出した。財政支出の拡大で、景気を下支えする狙いだ。

17年5月の文政権発足後、経済成長の伸び悩みは顕著になっている。韓国銀行(中央銀行)による19年の成長率見通しは1年間に4回下方修正され、直近では2.5%まで下がった。最低賃金の2年連続の2桁引き上げや残業の制限など分配重視の政策が企業の活力を奪っているとの不満は経営側に強い。

製造業の国際競争力の低下に加え、急激な少子高齢化も経済成長の阻害要因となっている。経済の中長期の実力を示す韓国の潜在成長率は現在、2.7~2.8%とされる。ただ、企業の設備投資抑制と少子高齢化がこのままのペースで進んだ場合「20年ごろに2%台半ば、30年以降は1%台まで下がる可能性がある」(現代経済研究院の洪俊標研究委員)。

洪副首相は2.6~2.7%とする韓国政府の成長目標の達成に「全力を傾注する」と強調した。ただ「この規模の補正予算では力不足だ」(KB証券のアナリスト)との声が多い。保守系野党の自由韓国党は25日「経済の失敗は文政権の間違った政策が原因だ」と文政権を強く批判した。経済の低迷が続けば、来年4月の総選挙に影響を及ぼすのは必至だ。

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