直島の作品 瀬戸内国際芸術祭2019

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2019/4/26 6:00 (2019/7/24 17:14更新)
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(1)草間彌生「赤かぼちゃ」★★★★

直島の宮浦港へ船が近づくにつれ、堤防の上の巨大なかぼちゃが徐々に大きくなって見えてくる。黒い水玉のいくつかは穴になっていて、作品の内部に入って遊ぶこともできる。海を背景に、作品は様々な表情を見せる。ぜひ何度も訪れたい。草間彌生のアイコンというべき作品であり、瀬戸芸のイメージにもぴったり。写真撮影の長蛇の列ができる。

(2)妹島和世+西沢立衛/SANAA「海の駅『なおしま』」★★★

薄い鉄板屋根で覆われた建物は、宮浦港にある島のエントランス。開放感があり涼しさを感じさせる。屋根の下にフェリーを待つ自動車の待機スペースがあり、機能と美しさを両立している。中には観光案内所や特産品販売店、カフェなどがあり散策の拠点になる。

(3)ジョゼ・デ・ギマランイス「BUNRAKU PUPPET」★★★

郷土芸能「直島女文楽」の人形の動きに着想を得た作品。不思議なことに、見ていると躍動感ある人形に見えてくる。ここまでポップに捉えるとは驚きだ。青い海と空をバックにすると爽快な気持ちになれるだろう。

(4)藤本壮介「直島パヴィリオン」★★★

(1)の「赤かぼちゃ」と同じく、宮浦港の堤防に設置されている巨大な立体作品。金網状の平面を組み合わせて構成されている。中に入って遊ぶこともできる。27の島で構成される直島町の「28番目の島」というコンセプトも納得できる。

(5)大竹伸朗「直島銭湯『I(ハートマーク)湯』(アイラブユ)」★★★★

美術作品であり、入浴施設でもある。作家の美意識に従い、外観も内装も多様なオブジェであふれている。それらに囲まれ、浴槽につかる。混沌とした風呂絵、モザイク画、派手なトイレ。混沌とした世界では旅の疲れを癒やすより、旅への意欲を高めたい。入浴料が別途必要。

(6)瀬戸内「緑川洋一」資料館(秋のみ)★★★★

かつてパチンコ店だった建物をどう活用するか。見た目は打ち放しコンクリートとガラスのモダンなたたずまいに生まれ変わったが課題は中身だ。写真家でアーティストの下道基行が考え出したのが「瀬戸内『』資料館」だ。『』の中は定期的にいろんなテーマを決め、共鳴するメンバーと一緒に掘り下げる街の研究所のような場所になれば――。初回に選んだのが実力派アマチュア写真家の緑川洋一だ。戦後の石灰工場の実態や働く人々を活写したシリーズ「白い村」を中心にモノクロ作品を多数展示。緑川の写真との向き合い方がわかる見応えある展示になっている。

(7)三分一博志「The Naoshima Plan2019『水』」(新作)★★★★

築約200年の建物を改装。豊富な井戸水をたたえた池の上を南北に風が吹き抜け、隣の家に涼やかな空気を受け渡していく。足を踏み入れた人は、その風の爽やかさに目を見張るだろう。冷気をとじ込める現代のエアコンとは真逆の発想がかつては息づいていたのだ。合理的な暮らしを再考させられる。

(8)三分一博志「直島ホール」★★★

ホールの屋根は入母屋造(いりもやづくり)で、総檜葺(ひのきぶ)き。屋根に風穴を開け、中はしっくい塗りにしたことで自然の空気が入り、呼吸する構造になっている。中に入ると気持ちのいい白色。直島女文楽の上演やレクリエーションの場として日常的に使われているといい、地元の人がうらやましく思える。

(9)妹島和世+西沢立衛/SANAA「直島港ターミナル」★★★

繊維強化プラスチック(FRP)製の球体が13個積み上げられている。島の反対側にある、直線的デザインの海の駅「なおしま」とは対照的だ。中はこぢんまりとした待合所。船を待つ地元の人たちに愛され生きる海洋生物の卵のようで、愛らしく感じる。

(10)安藤忠雄「ANDO MUSEUM」★★★

安藤忠雄や直島に関する資料を豊富に展示する。アート施設として生まれ変わった建物も深い味わいを出している。

(11)宮島達男「角屋」★★★★

築200年ほどの民家を改修した。靴を脱いで、薄暗い室内へ入る。床面に浅く張られた水の中で赤や緑、黄色など多数の発光ダイオード(LED)が点滅し、1から9までの数字を繰り返し表示する。表示する速度は直島に暮らす人々がそれぞれ個別に設定したという。島民の記憶と時間が浮かび上がる。家屋や寺社を作品化する家プロジェクトの一つ。

(12)杉本博司「護王神社」★★★★

本殿に上るガラス製の階段。周囲に敷き詰められた無数の白い小石。境内は不思議な雰囲気で満たされる。本殿の地下を見学することもできる。地下への入場は入れ替え制。本殿には近づけないので注意。家プロジェクトの一つ。

(13)ジェームズ・タレル「南寺」★★★★★

かつて寺だった場所に安藤忠雄が設計した建物が立つ。内部は完全な暗闇。最初は手探りで歩くしかないが、目が慣れるに従い、前方にうっすらと四角いスクリーンのようなものが見えてくる。浮かび上がるのは自己の記憶。忘れがたい体験ができるだろう。入れ替え制。建物前の受付で事前の予約が必要。家プロジェクトの一つ。

(14)須田悦弘「碁会所」★★★

島民が碁を打つ場だった建物を作品化した。小さな和室にツバキの花が散る。花は本物そっくりの彫刻で、その精巧さに驚かされる。静かな時間が流れる。家プロジェクトの一つ。

(15)千住博「石橋」★★★

靴を脱いで広い屋内を巡る。滝や崖を描いた障壁画が迎えてくれる。静かな空間の中で対峙する大作が時間を忘れさせてくれる。町の中心から歩いて10分近くかかる。駐輪場は無いので徒歩で行くこと。家プロジェクト。

(16)大竹伸朗「はいしゃ」★★★

歯科医院兼住居だった民家を改装。多様なオブジェと廃材で満たされている。看板、ネオン管などがコラージュ。同じ大竹の「直島銭湯『I(ハートマーク)湯』(アイラブユ)」と見比べたい。町の中心から離れているが、駐輪場がある。家プロジェクトの一つ。

(17)内藤礼「きんざ/このことを」★★★★★

築百数十年の古民家を一つの作品にした。完全予約制で15分間、1度に1人しか入ることができない。足元の窓から差し込む光を頼りに鑑賞する。泉のようなものが中心にあり、ガラス玉があちらこちらに散らばる。頭上には透明なチューブ。未知の高等生物の祭壇のようにも見えるし、全く別の原理が働く一つの世界にも感じる。虚心にながめたり、寓意(ぐうい)を読み取ろうと細部に目を凝らしたり。日常から離れた15分の体験に、この場所を去った後もしばし放心状態となる。

(18)「ベネッセハウスパーク」★★★

ベネッセハウスのうち、宿泊に特化するためにオープンした施設。宿泊者以外はガイドツアーに参加し、杉本博司の作品を鑑賞する。鎮魂をテーマに、フロントだった場所を丸ごと作品にした「光の棺(ひつぎ)」は、ごく弱い陽光だけが届く海の底を感じさせる。安藤忠雄建築へのリスペクトもにじみ出していた。ツアーは30分程度と限られるため、一つ一つの作品をじっくりと鑑賞できないのが残念。

(19)「ベネッセハウスミュージアム」★★★★★

美術館とホテルが一体となった施設。数々の現代アートが展示される。自然光と瀬戸内海の景色が取り入れられ、天候や時間によって作品の見え方も変化していく。野外展示も充実しており、時がたつのを忘れて楽しめる。

(20)「李禹煥美術館」★★★★

李禹煥と安藤忠雄が生み出した美術館。半地下構造の鉄琴コンクリート造りで、内部は地下道のような構造。正面の広場に20メートル近い高さの細い柱が立ち、コンクリートの壁が視線を遮る。入場料が別途必要。

(21)「地中美術館」★★★★★

今や世界的なアートの島となった直島を代表する施設。安藤忠雄の手による地中に埋まった建物の中で、天井から降り注ぐ自然光の下でモネの「睡蓮」に出合う。地中にいるのに、地上の空気と光を感じられる。入場料が別途必要。

(22)安藤忠雄「桜の迷宮」★★★

ダムを望む公園に植えられた百数十本の桜の木。春以外に行っても整然と並んだ木々が不思議な雰囲気を醸しだし、十分に楽しめる。他の作品から少し離れた場所にある。

(23)戸高千世子「彼方の気配」(夏秋のみ)

今回の瀬戸芸では展示しない予定。

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