あらゆる業界にAI浸透 AI/SUM閉幕

2019/4/25 13:27
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人工知能(AI)の活用をテーマにしたグローバルイベント「アイサム(AI/SUM)」(日本経済新聞社主催)が24日まで開催された。国内外のスタートアップ企業が事業プランを競い合うコンテストでは医療や自動運転、人事など多岐にわたるテーマにAIを活用した様々なアイデアが披露された。

ピッチイベント「WORLD30」には国内外のスタートアップ30社が出場した

人の運動や筋肉の動きをリアルタイムで解析するAIなどが披露された

国内外のスタートアップ30社が登場したコンテスト「ワールド30」で、最優秀賞にあたる「日経賞」を受賞したのはMUJIN(ムジン、東京・墨田)とソシウム(同・江東)。審査員を務めた500スタートアップスのマーヴィン・リャオ氏は「世界的に社会にインパクトを及ぼす可能性がある企業を選んだ」と話した。

ムジンは2011年の創業で、産業用ロボットを賢くする制御システムを開発している。大手メーカーのロボットにムジンの制御システムやカメラを取り付けると、ロボットに動作を教え込む作業が不要になる。

これまで産業用ロボットが置かれるのは決まった作業を繰り返す工場が多かった。人手不足が深刻化する中で、多品種少量の商品を扱うため臨機応変な対応が求められる物流業界にロボットの活躍の場を広げている。

ソシウムは産業技術総合研究所の研究成果をもとに17年に設立された企業。製薬会社向けにAIを使って医薬品の開発を効率化するシステムを提供している。製薬会社が開発を断念した新薬候補物質を活用し、新たな用途をシミュレーションで探すことができる。

すでに国内外の製薬会社や大学と組んでいる。製薬会社での勤務経験を持つ高橋学代表取締役は「ベンチャーならではの視点を生かしていきたい」と話した。

出場企業の事業内容は多岐にわたり、AIがあらゆる業界に浸透していることが鮮明となった。AIを活用するための環境づくりを整える技術もあった。「ソニー賞」に選ばれたオーストリア企業のモーストリーAI(ウィーン)が開発するのは、AIに学習させるビッグデータを生成するソフトウエア。特定の個人を識別できないようにデータを加工する技術を強みとする。

「欧州を中心にデータ規制が強まるなか、企業はプライバシーに配慮しつつ膨大なデータを活用できるようになる」(同社のアレクサンドラ・イベルト氏)という。データを個人情報とひもづけないように加工できれば、他社とデータを共有した共同研究などが容易になる。ソニーも「AIの資源となるデータの利用率を上げられる技術で、有望だ」と評価した。

AI活用がテーマのイベントということもあって「AI審査員」も登場した。22日に開かれた日本企業を対象にしたコンテストでは、エイベックスが開発した来場者分析システムを活用した。来場者の様子をカメラで撮影し、登壇者への反応を分析した。

アイサムでは次世代の起業家を育成するためのコンテストも開催された。大学生を対象にした「全国大学ビジネスプランコンテスト(大学ビジコン)」では、東京大学の学生によるチームが最優秀賞をとった。便を使った大腸がんのリスク評価を提案した。

高等専門学校の学生が対象の「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)2019」は、長岡工業高等専門学校(新潟県長岡市)のプレラボチームが最優秀賞を受賞した。

画像認識とAIを組み合わせてアナログのメーターをデジタル化する技術を開発しており、審査員から高い評価を得た。技術評価を担当した早稲田大学の尾形哲也教授は「機械工学と情報工学を1つのシステムにまとめ上げるのは難しいことだが、完成度の高さに驚いた」と評価した。

すでに新潟県内の食品メーカーで採用されているという。審査員はプレラボチームの企業価値を4億円と試算した。

DCONを日本経済新聞と主催した日本ディープラーニング協会の松尾豊理事長(東京大学大学院教授)は「ディープラーニングを産業応用するにはハードとの連携が不可欠。ハードで高い技術力を持つ高専生に深層学習を身につけてもらい、新たな価値創出につなげてほしい」と呼びかけた。平成生まれの10代や20代が、柔軟な発想で次の時代をけん引することになりそうだ。

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