日立、米社1500億円で買収 海外IoTを強化

2019/4/24 23:12
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日立製作所は24日、産業用ロボットを使った生産システムを手掛ける米JRオートメーションテクノロジーズを1582億円で買収すると発表した。同社が持つ北米の自動車や航空機産業などの顧客基盤を得ることで、現地であらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業を拡大する。日立のIoT事業は売上高のほとんどを日本国内で稼いでおり、グローバル展開が遅れていた。

日立は北米でIoT事業を強化する(24日、記者会見する青木副社長)

「ロボットを使った生産システム事業は日立にとって、これまでなかったパーツだ」。24日の記者会見で日立の青木優和副社長は米JRオートメーション買収の狙いをこう強調した。18年度の売上高は約670億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)率は15%程度という。「過去3年間で売上高は毎年2割以上の成長を続け、業界のトップ企業を顧客に持っている」(青木副社長)

JRオートメーションは北米の自動車や航空機産業向けに、ロボットを使った効率の高い生産ラインや物流システムを開発してきた。一方、産業用ロボットを使った日立の既存の生産システム事業は売上高が100億円未満にとどまっていた。

JRオートメーションのノウハウと日立が持つIoT基盤「ルマーダ」を組み合わせ、個々のロボットのデータを収集・分析し、顧客の生産現場の効率をさらに高める狙いだ。青木氏は「今は数十台のロボットを同期させて動かす程度。ルマーダを使えば隣の生産ラインや工場同士もつなげることができる」と話す。

日立がJRオートメーションの買収を決めた理由の一つが、苦戦が続く海外でのIoT事業の拡大だ。ルマーダの売上高は18年度で1兆円を超えているようだが、海外の比率は1割程度にとどまる。

日立は北米市場のテコ入れのため、17年には空気圧縮機を手掛ける米サルエアー社を1357億円で買収した。サルエアーは北米で約200の販売店と約4000社の顧客を持ち、中国市場にも販路を築く。サルエアーの幅広い顧客基盤を生かし、ルマーダによる機械の予兆診断サービスなどを提供している。

JRオートメーションの買収を含めると、日立のインダストリー事業の北米売上高は約1300億円に達する。生産年齢人口の減少やグローバル競争の激化により、JRオートメーションが手がける分野は今後、年平均で10%超の成長が見込める。日立の青木副社長は21年度末までの次期中期計画中に「2000億円程度に伸ばす」と語る。

一方で、買収額はJRオートメーションのEBITDAの15倍を超えるため、株式市場では割高との声も出ている。青木副社長は「当社にとって大きな事業機会が見込める。総合的に判断した」と述べた。サルエアー買収時も金額が高すぎるという指摘を受けたが、青木副社長は「2年間で売上高は買収前の1.5倍になった」と説明。そのうえで「JRオートメーションはさらに高い成長が期待できる」と語った。

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