2019年6月26日(水)

令和の皇室と公務 「旅する象徴」これからも

「令和」新時代
政治
2019/5/1 2:00
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天皇、皇后両陛下は上皇ご夫妻から多くの公務を引き継がれる。全国を旅し、国民と交流する象徴天皇のありようは今後も続いていく。ただ、皇族の数は減少が懸念されており、両陛下の子供世代は4人しかいない。天皇家と秋篠宮家を中心に公務をどう分担していくかが大きな課題になっている。

■両陛下の公務、儀式は多忙

国民文化祭が行われた大分県で、障害者アートの展覧会を鑑賞する天皇、皇后両陛下(2018年10月)=共同

国民文化祭が行われた大分県で、障害者アートの展覧会を鑑賞する天皇、皇后両陛下(2018年10月)=共同

天皇、皇后両陛下は主な地方訪問先として、上皇ご夫妻から引き継いだ3つの行事(全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会)に加え、皇太子夫妻時代から担ってきた「国民文化祭」に出席される。

4つの行事は今後、「四大行幸啓」と呼ばれる見通しで、両陛下が各地の伝統文化や施設を視察し、国民と交流される機会となる。

即位後、天皇、皇后として臨む「四大行幸啓」の第1弾は6月に愛知県で開催される第70回全国植樹祭。戦争で荒廃した山野を緑豊かな国土にすることを願い、1950年に始まった国土緑化運動の中核的な行事で、昭和天皇から上皇さまへと引き継がれた。

第74回国民体育大会は茨城県で、第39回全国豊かな海づくり大会は秋田県で第34回国民文化祭は新潟県で催される。いずれも9月に開会式などの式典があり、陛下が国内外に即位を宣明される10月の「即位礼正殿の儀」など一連の即位関連儀式を前に、今秋は過密な日程が続く。

国民文化祭(国文祭) 国民の文化活動への参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを狙いとした文化の祭典。演劇、ダンス、音楽など様々な文化活動が披露され、「文化の国体」とも呼ばれる。文化庁長官だった作家の三浦朱門氏の提唱で昭和期の1986年に始まり、以降は各都道府県の持ち回りで毎年秋に開催。天皇陛下は第1回から出席されてきた。

■継承と新機軸

原爆死没者慰霊碑に供花する天皇、皇后両陛下(1994年10月、広島・平和記念公園)=時事

原爆死没者慰霊碑に供花する天皇、皇后両陛下(1994年10月、広島・平和記念公園)=時事

不戦と平和を願う上皇さまが特別の思いで毎年臨まれてきたのが8月15日の全国戦没者追悼式だ。天皇ご一家もこの日にそろって黙とうし、犠牲者らに祈りをささげられてきた。式典で「お言葉」を述べる役割は上皇さまから、戦後生まれの天皇陛下に引き継がれることになる。

上皇さまの在位中に引き継がれた公務もある。「こどもの日」にちなんだ児童関連施設と、「敬老の日」にちなんだ高齢者施設の訪問だ。上皇ご夫妻の高齢を理由に2015年から天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻で担われている。

陛下が新たな公務の軸として取り組まれているのが水に関する問題。台風や豪雨、津波などの防災を考える上で、水問題で得られた知見が国民生活の安定と発展に生かすことができるとの考えを示されている。

■象徴は国民とともに

仮設住宅を訪問し、被災者の女性の手を取り懇談する天皇、皇后両陛下(2018年9月、福岡県朝倉市)=共同

仮設住宅を訪問し、被災者の女性の手を取り懇談する天皇、皇后両陛下(2018年9月、福岡県朝倉市)=共同

上皇ご夫妻は自然災害が起きるたび、全国各地の被災地を訪れ、被災者を励まされてきた。天皇、皇后両陛下も皇太子夫妻時代に被災地に足を運び、被災者らと懇談してお見舞いの気持ちを伝えられている。

両陛下がとりわけ強く心を寄せられているのが東日本大震災の被災地だ。2011年6~8月、宮城、福島、岩手の3県をお見舞いのため日帰りで訪問。13~17年にも仮設住宅や復興状況の視察で3県に2回ずつ赴かれた。こうした訪問には長期療養中の皇后さまもすべて同行された。

最近では18年9月、17年7月に発生した九州北部豪雨で最も大きな被害を受けた福岡県朝倉市を訪問。仮設住宅で生活する人たちに励ましの声をかけられた。陛下は19年2月の記者会見で被災地の復興に関して「助け合いの精神には、日本の人々の優しさや秘めた強さを見る思いがいたしました」と述べられている。

■秋篠宮さまの役割大きく

皇位継承順位1位の皇嗣、秋篠宮さまと紀子さまは天皇、皇后両陛下が皇太子夫妻時代に担った地方公務の大半を引き継がれる。

両陛下が皇太子夫妻時代に担ってきた主要地方公務「七大行啓」のうち、国民文化祭を除く全国高等学校総合体育大会(インターハイ)など4つは秋篠宮ご夫妻が、献血運動推進全国大会は秋篠宮妃紀子さまが単独で、それぞれ務められる。引き継がれた公務のうち、5月に鳥取市で催される第30回全国「みどりの愛護」のつどいが、皇嗣ご夫妻として初の地方公務。

愛媛国体の閉会式に出席された秋篠宮ご夫妻(10月、ニンジニアスタジアム)=共同

愛媛国体の閉会式に出席された秋篠宮ご夫妻(10月、ニンジニアスタジアム)=共同

秋篠宮さまはこれまで15の地方公務を含む計34の定例行事に毎年臨んでこられた。代替わりに伴う引き継ぎで公務数が増えるため「国体閉会式」や「全国都市緑化祭」など趣旨が重複する3行事については、長女の眞子さまが担われる。その他の行事も秋篠宮さまが他の公務のスケジュール上、都合がつかない場合は出席されない。

宮内庁はご夫妻の負担を軽減するため、関係省庁などと調整し、公務負担の整理・見直しについての検討を代替わり後も続けるとしている。

■子供世代は4人

天皇家の長女、愛子さま、秋篠宮家の長女、眞子さま、次女、佳子さま、そして皇位継承順位2位の長男、悠仁さま。子供世代の4人は令和の皇室で重要な役割を担うことになる。

眞子さま

眞子さま

佳子さま=共同

佳子さま=共同

愛子さま=宮内庁提供

愛子さま=宮内庁提供

悠仁さま

悠仁さま

愛子さまは学習院女子高等科3年生。2020年春に卒業し、大学に進学される見通しだ。単独公務の経験はまだないが、両陛下の公務に同行されることもある。今後、宮内庁が初公務の時期を検討していく。

眞子さまは成年皇族として、すでに多くの公務に取り組まれている。日本テニス協会名誉総裁や日本工芸会総裁を務め、国際親善のため、南米を中心に5カ国を公式訪問された。19年7月にもペルーとボリビアへの訪問が検討されている。

佳子さまは19年3月、国際基督教大(ICU)を卒業された。進学や就職はせず、公務に取り組まれる予定だ。悠仁さまは同月、戦後の皇室で初めて学習院初等科ではなく、お茶の水女子大付属小学校を卒業。同付属中学校に進学し、勉学中心に過ごされている。

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