大ガス、山口の石炭火力計画から撤退 先行きに暗雲

2019/4/24 19:28
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大阪ガスは24日、山口県宇部市で進めていた石炭火力発電所の建設計画から撤退すると発表した。電力の小売り全面自由化で価格競争が厳しくなり、投資回収ができなくなる可能性があると判断した。共同運営するJパワー宇部興産は規模を縮小して継続することを検討するが、温暖化ガス排出量の多い石炭火力に対する逆風は激しく、不透明感は強い。

大ガスなど3社は共同で出力合計120万キロワットの発電所を建設し、2026年に稼働する計画だった。1号機と2号機で構成され、それぞれ出力は60万キロワット。事業会社には大ガスが45%、Jパワーが45%、宇部興産が10%出資している。大ガスは出資を取り下げる方針で、環境影響評価(環境アセスメント)にかかっていた費用など20億円弱を、19年3月期に損失として計上した。

大ガスが撤退することで、Jパワーと宇部興産は大幅な計画変更を迫られる。両社は環境アセスメントを一度休止する。従来の発電設備を2基から1基に減らして合計の出力を60万キロワットに下げる方法と、高効率な「石炭ガス化複合発電(IGCC)」方式を採用した30万キロワット級の発電設備を複数設置する方法のいずれかを今後検討する。大ガスの出資分は両社が買い取る方針だ。

大ガスなどは15年に今回の計画を公表したが、16年4月に一般家庭を含む電力の小売りが全面自由化となるなど、事業環境は大きく変化した。西日本で電力需要が想定より減る見通しとなる中、関西電力や新電力との価格競争は激しく、投資回収に15~20年かかる石炭火力発電所の収益性に暗雲が漂った。「事業リスクを考え、採算が取れないと判断した」(大ガスの本荘武宏社長)

環境規制の強化も厳しい。現在、石炭火力は国のベースロード電源に位置づけられているが、天然ガスに比べて二酸化炭素(CO2)の排出量は多い。政府が50年までに温暖化ガスを80%減らす目標を掲げる中で、石炭火力発電所を建設することのリスクは高まっている。

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