2019年6月25日(火)

テロ対策施設 完成遅れで原発停止へ 3つのポイント

3ポイントまとめ
科学&新技術
2019/4/24 17:59
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原子力規制委員会は24日、原子力発電所に設置が義務付けられているテロ対策施設が規制上の期限に完成できない場合、原則として運転停止を命じることを決めました。運転中の九州電力川内原子力発電所1号機(鹿児島県)は2020年3月に期限を迎えますが、九電は工事が1年遅れるとしており、停止が命じられる可能性があります。今回の決定のポイントを整理します。

九州電力川内原発1号機(左)。右は2号機(鹿児島県薩摩川内市)

(1)原子力規制委は規制に専念

原子力規制委は11年の東京電力福島第1原子力発電所での事故の反省を踏まえ、12年9月に設置されました。それまでは原発の推進と規制の両方を経済産業省が担い、規制が形骸化しているとの批判があったためです。国や電力会社からの「独立」を大原則に掲げて、「世界一厳しい」という新しい原発規制の基準を作って、原発の再稼働などを審査しています。行政からの独立性が高い国家行政組織法上の「3条委員会」で、5人の委員は政府が指名し、国会の同意を得て決められます。電力会社の経営などは考慮せず、規制に専念して様々な判断をしています。

(2)テロ対策施設とは

福島第1原発をきっかけに13年7月に導入した原発の安全に関する新規制基準は、地震・津波や竜巻といったさまざまな自然災害に加え、テロを原発の脅威ととらえ備えを求めています。従来の日本の対策は海外に比べて手薄といわれてきたためです。「特定重大事故等対処施設」と呼ばれ、原子炉がある建物から100メートル以上離して建設します。遠隔操作で原子炉を冷やす設備などを備えます。航空機をぶつけるような攻撃を受けても被害を最小限に抑える設計としています。ただ、テロリストに施設の情報が渡らないようにするため詳細は非公開となっています。電力各社は安全性を高めるために必要な工事などに想定以上の時間がかかっているとしています。

(3)運転停止をなぜ命じることができるのか

規制委が原発を規制する根拠となっているのが、原子炉等規制法です。同法の43条に原発が規制の基準に適合していないときに、「使用の停止」など必要な措置を講じることができると明記されています。テロ対策施設について規制上の設置期限内に完成できなかった原発は基準に不適合状態となります。期限が差し迫っているのが九電の川内原発1号機で20年3月17日が設置期限となっています。

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