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アルジェリア、反体制デモ続く 支配構造の維持に抵抗

【カイロ=飛田雅則】20年間に及ぶ長期政権が崩壊した北アフリカのアルジェリアで、国民のデモが続いている。大統領の辞任後、上院にあたる国民評議会議長が暫定大統領に就任したが、軍を中心とした不透明な統治が維持されかねないとの不信感が募っているためだ。安定した民政に移行する明確な道筋を示せなければ、再び混乱が生じる可能性がある。

「いまの統治体制はもう十分だ!」。首都アルジェでは若者を中心に22日も裁判所付近で政府の刷新を訴える抗議デモが続いた。デモ隊はイスラム教の金曜礼拝がある26日に大規模なデモを予定しているという。

4月2日に1999年から大統領職にあったブーテフリカ氏が辞任し、暫定大統領には国民評議会のベンサラ議長が就いた。7月4日に大統領選の実施が決まったが、デモが収まる気配はない。活動家のアジズ・ブッセルマウイ氏は「独立闘争を戦った旧来の指導層が一斉退陣しない限り抗議行動はやめない」と強調する。

国民の批判はいま、権力を握り続けようとする「プーボワール(権力)」と呼ばれる軍や経済界のエリート集団による特有の支配体制に向かっている。軍は1962年の独立以来、大統領の選任や更迭など人事を握ってきた。ブーテフリカ氏の辞任も例外ではないとされる。

汚職も横行し、雇用の受け皿となる民間企業の育成は遅れている。世界銀行によると若者(15~24歳)の失業率は24%と高止まりし、不満は募っている。

国民は変革を求めるが、実現は簡単ではない。同国は世界でも有数の産油国で、輸出総額の約95%を資源収入が占める。産業の多角化は急務だが、人材育成の遅れや資源分野での既得権益の存在など、乗り越えるべき課題は多い。

続発するデモに対し、軍はいら立ちを強めているようだ。軍幹部は最近、現地テレビで「政治危機を終わらせるためにすべての選択肢を検討している。時間切れは迫っている」と国民に警告を発した。

AP通信は10日のデモで警官に頭部を殴打されたデモ参加者の1人が死亡したと報じた。デモは今のところ平和的だが、今後も死者が出れば、治安当局との衝突が激しくなる懸念もある。反体制派にはリーダーとなる中核的な人物がおらず、ひとたび混乱が起きれば、統率を取るのは難しい。同国の政情不安は原油の国際価格にも影響を与えるだけに、当面は同国の軍や暫定政府の対応が焦点となりそうだ。

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