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ポイント投資、出し入れは短期の傾向(投信観測所)

2019/4/26 12:00
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携帯電話やクレジットカードなどの利用でたまるポイントを運用に回し、ポイントの増加を狙う「ポイント投資(ポイント運用)」の利用者が急増している。代表的な2社、クレディセゾンのカードポイント「永久不滅ポイント」を使った運用サービスの利用者は2018年末に43万人に達し、NTTドコモの「dポイント投資」の利用者は19年2月に40万人を超えた。

ポイント投資は、本人確認の手続きが必要となる証券口座を開く手間がいらない。手軽に投資を疑似体験できる仕組みだ。ポイントは投資信託の基準価格といった、金融商品の価格に連動して増減する。

ポイント投資には資産形成の入り口として期待がかかるが、現状では多くの利用者がポイントを短期間に出し入れしている傾向が強い。「ほったらかしの長期投資志向」という状況にはないようだ。データで確認してみよう。

■運用資産の残高は急増せず

クレディセゾンが開示している四半期決算短信によると、同社の永久不滅ポイントを使ったポイント運用サービスの利用者は18年6月末、9月末、12月末にそれぞれ16万人強、30万人、43万人と急速に増えてきている。その一方で、運用資産は10億~11億円と目立った変化がない。NTTドコモのdポイント投資の対象となっている投信の純資産残高も計10億円程度(3月末時点)にとどまっている。

どちらのポイント投資も、それぞれ選択したコースの対象商品の運用実績と連動してポイントが増減する。ここでは、対象がファンドのみで資金の出入りなどがつかみやすいNTTドコモのdポイント投資を見てみよう。

■dポイント投資は2本のファンドで運用

NTTドコモのdポイント投資には「債券よりも株式に大きく比重を置き、高いリターンを目指す」アクティブコースと、「株式よりも債券にやや比重を置き、安定したリターンを目指す」バランスコースの2種類がある。それぞれ資産運用サービス会社、お金のデザイン(東京・港)が運用する2つのファンドを一定の比率で組み合わせた基準価格に連動する。

グラフAにdポイント投資が始まった昨年5月以降の2ファンドの値動きを示す。グラフからはETF(上場投信)を通じて世界の株式に為替ヘッジなしで投資する「THEOグロース・AIファンド(世界の株式中心)」の値動きが荒いことが分かる。昨年10月から年末にかけ世界的な株価急落で基準価格は大幅に下落したが、今年に入ってからは持ち直している。

これに対し、同じくETFを通じて世界の債券に為替ヘッジなしで投資するもう1本の「THEOインカム・AIファンド(世界の債券中心)」は、過去1年を通して基準価格が緩やかに上昇した。

dポイント投資の利用者はdポイントから運用ポイントへの交換(追加)や、運用ポイントからdポイントへの交換(引き出し)を所定のルールの範囲で、いつでもできる。運用ポイントがこれら2本の基準価格に連動するだけで、利用者が直接、ファンドを売買することはない。

一方、ポイント投資の運営会社は財務リスクを負わないようにするため、利用者によるポイント交換に伴い運用ポイントが増減するのに合わせ、対象商品のファンドなどを売買するのが一般的。NTTドコモも利用者がポイントを追加したり、引き出したりするのに合わせて投信を売買しているとみられる。利用者のポイント出し入れがファンドの純資産残高や資金流出入に反映される。

■購入に近い解約が毎月発生

dポイント投資連動ファンドの純資産残高の推移と、月間の購入額(設定額)と解約額を示したのがグラフBだ。どちらのファンドも運用資産の規模を示す残高はあまり伸びていない。毎月のように残高を超す購入が続くのに残高が大きく拡大していかないのは、購入に近い解約が毎月発生しているためだ。18年5月以降の購入額は2ファンド合わせて約94億円に達したが、解約額も約84億円。その差の約10億円が残高にほぼ相当する。

これはdポイント投資では、利用者の多くが1カ月に満たない間にポイントを追加して引き出している状況を示す。ポイントは「おまけ」のようなものであり、なくなっても構わないという心理が働き「少しでも増やせればそれで十分」として、短い間に運用ポイントの追加と引き出しを繰り返すことにつながりやすいのかもしれない。「ちりも積もれば山となる」と長期にじっくり増やしていこうと考える利用者は、まだ少数派のようだ。

もっとも、ポイントの短期の出し入れが資産形成に関係しないとは言い切れない。まず短期でうまくいかないとは限らない。逆にポイントを短期に増やすのに失敗したり、頻繁な出し入れが面倒だと実体験したりすることで、投資タイミングの難しさや価格変動リスクの大きさ、資産配分の重要性など、本当にお金を使って資産形成をするうえで役立つ考え方を学ぶ可能性もある。

今後は、ポイント投資で資産運用のコツを疑似的に「実践練習」した人たちが、まとまった資金や毎月の給料を元手にした本格的な長期の資産形成に乗り出していくのか、その動向に注目が移りそうだ。

(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

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