2019年8月19日(月)

せかい旬景 地下鉄はエンタメ空間(ジャカルタ)

2019/4/27 5:50
保存
共有
印刷
その他

インドネシアの首都ジャカルタで3月25日、同国初のMRT(大量高速輸送システム)が開業した。日本が政府開発援助(ODA)で支援し、開発も日本企業が関わった「オールジャパン」の鉄道輸出プロジェクト。起点となるブンダランHI駅は支局の目の前のため、早速乗ってみることにした。

駅構内は平日にもかかわらず、大勢の人、人、人……。まずは切符を買おうとチケットカウンターに目をやるが、長蛇の列。運賃は最短距離で3000ルピア(約23円)で4月中は半額だという。ぼうぜんとしていると、男性に声をかけられた。どうやら地元銀行が発行している電子マネーカードの仮設販売所のスタッフらしい。MRTに乗車できるとのことで、言われるがままに50000ルピア(約400円)を支払った。プリペイド式でチャージする限り、何度も乗降可能だ。

身長90センチ以上は切符が必要

身長90センチ以上は切符が必要

改札口に並んだが、ここでも列が進まない。カードや切符を読み取り機にかざすと通過できる仕組みだが、IC乗車券に慣れない市民も多いからだ。戸惑う人々を尻目に自信満々で通り抜けようとしたところ、なぜか赤いバツ印が出て読み取りエラーとなった。すぐに地下鉄スタッフが飛んできて助けてくれた。

南北をつなぐ約16キロメートルの路線のうち、約6キロメートルが地下を走る

南北をつなぐ約16キロメートルの路線のうち、約6キロメートルが地下を走る

ホームはさながら撮影会の様相だ。いよいよ列車が到着すると、乗客はスマートフォンを片手に、我先にと車内に乗り込んでいく。降車優先のマナーはまだ一般化していないようだ。子供が土足で座席に座ると、各車両に配置されたスタッフがやんわりと注意する。4月17日の大統領選挙で続投が決まったジョコ・ウィドド大統領も、開業式典でマナー向上を呼びかけたという。

車内で記念写真を撮影する親子連れ

車内で記念写真を撮影する親子連れ

約6キロメートルの地下鉄部分を抜けると、列車は地上部分につながる。ジャカルタの強い光が差し込んだ車内では子供たちから歓声が上がった。全長約16キロメートルの小旅行の終着駅はレバックブルス駅。車両基地があり、ここでも家族連れを中心に大撮影会が繰り広げられていた。渋滞緩和の特効薬というよりも、手軽に楽しめる新たなアトラクションができた、という印象だ。

地上部分を走るMRTの車両

地上部分を走るMRTの車両

撮影を終え、帰路についた。車内のドア周辺で撮影用の脚立に腰掛けて休んでいると、スタッフにおずおずと話しかけられた。「ミスター、それはマナー違反です」。あわてて立ち上がった。

(NAR編集部 小林健)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。