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ゴルフは選択肢のひとつ まずは様々なスポーツを
ゴルフジャーナリスト 地平達郎

2019/4/24 6:30
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タイガー・ウッズの、奇跡ともいえる復活優勝で沸き返った2019年のマスターズ・トーナメント。その話題にかき消されたが、4人が出場した日本勢は、3人が決勝ラウンドに残ったものの、松山英樹の32位が最高で、いずれも最終日に順位を落とした。

毎年のようにコースの距離を延ばすオーガスタ・ナショナルGC。これを制するには、技術もさることながら、パワーで立ち向かうしかない。しかしそれは単に、体が大きい、力がある、腕っ節が強いというだけではなく、4日間72ホールを戦い抜ける体力と精神力を持ったスポーツマンパワーとでもいえる。

ウッズは今回でマスターズ5勝となったが、その上に6勝の大会記録を持つジャック・ニクラウスがいる。メジャー通算でも、15勝のウッズの先に、ニクラウスの18勝がさん然と輝いている。

マスターズ・トーナメントの初日、名誉スターターを務めるジャック・ニクラウス=AP

マスターズ・トーナメントの初日、名誉スターターを務めるジャック・ニクラウス=AP

かつてニクラウスが来日した際、ゴルフ月刊誌の単独インタビューの機会に恵まれた。最後に「これからゴルフを目指す日本の若者にアドバイスを……」と頼んだところ、ニクラウスは目を輝かせるようにしてこう答えた。

「小さいころはいろんなスポーツを経験するほうがいい。その中から、自分にあった、自分の好きな競技を見つけてそれに進めば後悔しないし、困難にだって立ち向かっていける。それがゴルフだったら最高だけどね」

ニクラウス自身、子どものころからずっとゴルフだけをやっていたわけではない。アメリカンフットボールの選手だった父親の影響もあって、ゴルフとフットボールの両方に真剣に取り組んでいた。それが、高校生も後半になって進む道をゴルフに決め、オハイオ州立大学ゴルフ部に入り、21歳で全米アマチュア選手権に優勝し、その後、プロに転向している。

プロに「なりたい」より「ならせたい」

幼いころはいろんなスポーツを経験したほうがいい――という考え方は、米国ではごく当たり前である。むしろ、そうすべきだととらえられている。ひとつのスポーツだけをやることの弊害も言われている。

昨年から今年にかけて、日本で大きな話題になったプロスポーツ選手は、テニスの大坂なおみと野球のエンゼルス・大谷翔平、マリナーズ・菊池雄星だろう。大谷と菊池は同じ岩手・花巻東高出身で、並外れた運動能力を持つ共通点もある。

父が野球、母はバドミントン、姉はバレーボールというスポーツ環境の中で育った大谷。菊池は子どものころ水泳とバレーボールをやっていたという。周囲にいろんなスポーツがあり、またそれをやってきた中で選んだ野球。ニクラウスの言葉ではないが、最終的に自分にあったスポーツを天職と決めてその道に進んでいる。

菊池(左)と大谷は並外れた運動能力を持つという共通点がある=共同

菊池(左)と大谷は並外れた運動能力を持つという共通点がある=共同

振り返ってゴルフ。いま、プロゴルファーになりたいという子どもが多くいるという。うれしいことだが、子どもたちがというより、「プロゴルファーにならせたい」親がたくさんいる――というのが現実である。

結果、小学校にも上がらない子にシャフトを短く切ったクラブを持たせて練習場に連れていく。できるようになったら試合に出させ、「スコア、スコア」と口にする。そんなジュニア時代を経験し、大きくなって今度はパワーをつけようと、走ったりウエートトレーニングをとり入れたりする。これでは順序が逆である。

ウッズの快挙を知って、「よし、うちの子も」などと思う親もいるだろうが、くれぐれもゴルフはスポーツのひとつであることを忘れないようにしてもらいたい。

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