トランプ氏、FRB理事に「友人」起用断念

2019/4/23 4:26
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は22日、同氏の有力支援者で元実業家のハーマン・ケイン氏が米連邦準備理事会(FRB)理事への指名を辞退したと発表した。利上げに反対するケイン氏の就任には「政治色が強すぎる」として人事を承認する上院に反対論があった。ただ、トランプ氏は自らに近い経済評論家を理事に指名する考えで、FRBへの圧力を緩める気配はない。

元実業家のハーマン・ケイン氏=ロイター

元実業家のハーマン・ケイン氏=ロイター

「私の友人で実に素晴らしい男であるハーマン・ケイン氏が、FRB理事に指名しないよう申し出てきた。彼の意思を尊重するつもりだ」。トランプ氏はツイッターでそう表明した。同大統領は4月4日にケイン氏をFRB理事に指名する意向を表明していたが、人事案の撤回を迫られた。

ケイン氏はピザチェーンの元経営者で、2012年には大統領選に立候補した経験もある共和党の有力者だ。トランプ氏を支援する政治資金団体を立ち上げるなど、現政権の主力支持者でもある。ケイン氏はトランプ氏の意向をくんで、金融政策では利上げに反対する考えを公言していた。

ただ、上院では与党の共和党からも「党派色が薄く、経済面での経験も豊富な候補者を選ぶべきだ」(ミット・ロムニー上院議員)と反対論が浮上。共和党は上院100議席のうち53議席を占めるが、22日までにケイン氏の就任に反対する議員が4人に達して、人事承認が困難になっていた。

トランプ氏はFRBの利上げ路線を「常軌を逸している」などと強く批判してきた。20年の大統領選を意識するトランプ氏は利下げを公然と要求し始め、自らに極めて近いケイン氏をFRBに送り込んで金融政策への影響を強める考えだった。

FRBは正副議長を含め理事ポストが7つあり、現在は2つが空席だ。ケイン氏の指名辞退でトランプ氏はFRB人事の再考を求められるが、理事ポストにはケイン氏だけでなく、保守系経済評論家のスティーブン・ムーア氏も指名すると既に表明している。ムーア氏は16年の大統領選でトランプ陣営の顧問を務め、大型減税を立案した一人。ムーア氏も利上げ反対論を公言しており、ケイン氏よりも「トランプ色」が強いとされる。

ケイン氏は12年の大統領選時もセクハラ疑惑と不倫疑惑が取り沙汰され、同氏のFRB理事就任は当初から困難視されていた。そのため「候補者をわざわざ2人立てた今回のFRB人事は、もともと1勝1敗が狙いではないか」(主要中央銀行の元首脳)とまでささやかれる。

ムーア氏も多額の税金未納が報じられるなど、上院が人事を承認するのは簡単ではない。トランプ氏が側近のムーア氏を確実に送り込むため、議会の「ガス抜き」としてケイン氏を理事候補に仕立てたとの見方だ。市場参加者は「ムーア氏の人事が承認されれば、パウエル議長の後任候補になる」とまで指摘する。

トランプ氏に人事面で圧力をかけられるパウエル体制は、組織防衛を意識せざるを得ない。FRBが利上げ休止を表明して米経済指標には明るさもみられるが、先物市場はなお47%の確率で「年内に利下げに転じる」と見込んでいる。

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