2019年5月27日(月)

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「最後」の世界卓球個人戦 水谷、己との戦い

2019/4/22 22:40
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日本男子の卓球を支えてきた百戦錬磨の男が競技生活の集大成を前にもがいている。23日開始の男子シングルス。水谷隼(木下グループ)はモチベーション維持や目の不調で万全とはいえない中、「今回が最後」と決めた8度目の世界選手権個人戦に挑む。まだ手にしていないメダルへの道は険しいが、「ベストを出せば自然と勝利はついてくる」と自分自身と向き合っている。

試合会場で調整する水谷隼=共同

試合会場で調整する水谷隼=共同

韓国のエース格の鄭栄植に世界ランク3位の林高遠(中国)、リオデジャネイロ五輪2冠の馬竜(中国)……。抽選で3回戦以降に強敵がずらりと並んだ組に入っても、水谷はどこか吹っ切れた表情で受け止めていた。「一試合一試合が勝負。昔みたいな、がつがつした心境ではない」

3年前のリオ五輪で日本初のシングルス銅メダルと団体銀メダルを獲得。徹底的に自分を追い込んだ末のメダルに達成感を味わった一方、同じ闘争心を取り戻す難しさも味わってきたからだ。

東京五輪の選考レースに合わせ、遅まきながらギアを上げようとしても今度は体が思うように反応しない。6月で30歳。腰にはサポーターが欠かせず、今大会直前のドイツ合宿では首を痛めた。

より深刻なのが、2018年以降に感じるようになった目の不調だ。最近の主要大会はほぼ毎回採用される発光ダイオード(LED)の看板とボールの白さが重なり、試合中に「ボールが消える」感覚になるのだという。

「サービスやレシーブなら、ある程度勘や経験で予測できる」とは言うものの当然反応は遅れ、回転も読み切れない。原因は不明で、今大会に合わせて用意した特注のサングラスを「裸眼よりもしっくりくる」までフィットさせられたことが数少ない好材料だろう。

もどかしさを覚えつつ、今年も全日本選手権で10度目の優勝を果たし、Tリーグでは初代王者に輝いた。今大会の前哨戦といえる3月のカタールオープンでも張本智和(木下グループ)と並んで日本勢最高の8強入り。サーブからの先制攻撃や円熟味を増す戦術は十分に世界のトップレベルだ。

現役最後の試合と位置付ける東京五輪に向け、選考レースでは現在、日本男子の3番手。このままではシングルスでの出場はかなわず、今大会の結果次第ではさらに厳しい位置に追い込まれる。数々の大舞台で結果を残してきた第一人者は、そんな状況を全てのみ込んだ上で淡々と語る。「勝ちたい勝ちたいと思っても、なかなか勝てない。目の前の試合に集中して頑張るだけ」。正念場となる大会を前に、ただ静かに気持ちを高めている。(鱸正人)

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