ゲノム編集ベビーを法規制 政府検討

2019/4/22 20:38
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政府は遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」技術を使った子どもの誕生を法律で規制する検討に乗り出す。中国の研究者がゲノム編集した双子を生み出したと2018年秋に公表。倫理面の問題が世界で議論になったことを受け、政府の有識者会議が22日、法規制を求める報告をまとめた。厚生労働省などは、早ければ20年の通常国会に法案提出を目指す。

内閣府の生命倫理専門調査会が22日、ゲノム編集で遺伝子を改変した受精卵を人の胎内に戻すことを禁じるべきだとする報告をまとめた。罰則を伴う法規制が望ましいとし、厚労省を中心に法案を作る方針だ。

海外では、ドイツやフランスが受精卵のゲノム編集を法律で禁じる。米国は連邦政府の資金投入を制限し、研究に歯止めをかける。英国は国の機関が厳しく審査し、中国は指針で認めていない。

日本では、研究の範囲で子どもの誕生を禁じる「研究指針」が唯一の規制だった。「医療行為としてやる医者がいても止められない」(国立成育医療研究センターの松原洋一研究所長)との懸念が出ていた。

01年に施行した「ヒトクローン技術規制法」は、本人と同じ遺伝情報を持つ「クローン人間」の誕生を禁じるのが目的。ゲノム編集とは技術が異なり、新たな法的枠組みが求められる。

進歩が速いゲノム関連技術の法規制は難しい面もある。政府がこれまで法規制に踏み切らなかったのは「研究指針の方が柔軟に規制対象を見直せる」(厚労省)からだ。

ゲノム編集の医療応用を一律に禁じれば、技術の発展を阻むとの見方も根強い。医療応用はまだ先との見通しの甘さもあった。

ただ18年11月に中国の研究者がゲノム編集でエイズウイルスに感染しにくい双子を誕生させたと公表した。現在の技術水準では遺伝子を誤って改変し健康被害につながりかねないほか、親が望む容姿や能力を持つ「デザイナーベビー」の誕生も危惧される。世界保健機関(WHO)は医療応用のあり方の議論を始めた。

このため政府は、民間の不妊治療クリニックなど従来の研究指針で対処できない対象に規制の網を広げる必要性に迫られた。研究指針の見直しも検討する。

法規制へ傾く政府の動きに対し、埼玉医科大学の石原理教授は「(技術の急速な発展に対応するため)最小限の範囲を法規制の対象とし、ほかは指針で規制すべきだ」と話している。

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