2019年6月17日(月)

農村観光を企画力で勝負 大田原ツーリズム・藤井大介社長
北関東 令和時代の旗手

北関東・信越
2019/4/22 20:18
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人口減少時代の数少ない成長産業ともされる観光業。北関東の各地で注目を集めているのが滞在型の農村観光「グリーンツーリズム」だ。その中で第三セクターの大田原ツーリズム(栃木県大田原市)は独自の手法で市場を開拓してきた。藤井大介社長にグリーンツーリズムの行方を聞いた。

大田原ツーリズムの藤井大介社長

――平成はどのような時代でしたか。

「バブル崩壊を機に企業の団体旅行が中心の観光から個人旅行に移っていった。個人旅行もセットプランのものから、格安航空券やネットの普及により自ら手配するものになってきている」

――知名度が高くない大田原に人を呼び込むのは難しそうです。

「大田原というより農家民泊という目的のために来てくれる。滞在の目的を作るのは難しいことではなく、大田原の強みが生きるのは農家民泊や農業体験だった。日本中どこでも観光はつくれる」

――利益をあげるためどう工夫していますか。

「他がやっていないことをやってきた。例えば耕作放棄地を耕すなどの社会奉仕を兼ねた活動は満足度も利益率も高い。企画力の問題だ」

「一方で、徹底的に地域の農家に足を運んできた。他の地域では農家民泊を実施する農家が増えないところも多いが、当社では増え続けている」

――農家民泊の魅力は何でしょうか。

「日本で大きいのは子供の市場で生きる力やコミュニケーション能力の醸成という面で人気が高い。ただ世界では余暇を過ごすのに農家民泊が選ばれる。日本が特殊なのであって、世界基準に合わせていく必要がある」

「インバウンド(訪日外国人)は1泊や2泊ではなく1週間滞在する。ターゲットにハードもソフトも合わせないといけない。一番楽しんでもらえるのは人との交流だ。町の人たちとどれだけ接することができるかで楽しさが変わる」

――令和の時代の観光業の課題は何ですか。

「個人旅行やインバウンドへのシフトについて行けない観光地も出ている。個人旅行に合わせた地域と体験、宿泊所をつくる必要がある。欧州ではすでに起きていることだが、宿よりも体験にお金をかける時代が日本にも来るかもしれない」

■記者の目

大田原ツーリズムは設立当初、8年以内を目標にしていた黒字化を4年で達成した。背景にあるのは企画力と利益率を高める独自の工夫だ。藤井社長はメーカー出身で観光業の経験は無かったが、「徹底的に勉強すれば全国でできる」と話す。

インバウンドが増え「コト消費」への注目が高まる中、日本の農村の趣を残す地方の可能性は広がっている。見慣れた光景から観光資源を掘り起こし、農家民泊や体験型観光に活用することも農村を生かす一つの道だ。

(宇都宮支局 松本萌)

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