2019年8月22日(木)

タオルに続け サイクリングや食を「今治」ブランドに

2019/5/4 7:00
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しまなみ海道サイクリング、今治タオル、村上海賊など多彩なコンテンツを抱えながら、全国的なイメージがいまひとつな愛媛県今治市。改善に向けて統一コンセプトのもと、地域ブランドとして情報発信する取り組みを始めた。念頭にあるのは今治タオルブランド化の成功体験だ。業界の垣根を越えた地方都市の挑戦は珍しく、活性化につながるか注目を集める。

タオルと食の共創型プロジェクト第1弾として販売された「しまなみロール」

ブランド戦略のロゴマークを発表する佐藤可士和さん(左)ら(今治市)

今治市は造船やタオルなどの地場産業を抱え、四国トップ級の製造品出荷額を誇る。人口約16万人は4県の各県庁所在地に次ぐ規模だ。

「サイクリングの聖地」として国内外から愛好家を集めるしまなみ海道をはじめとして、かつて周辺で勢力を振るった村上海賊、ゆるキャラグランプリ優勝経験のある「バリィさん」、来島海峡のタイなどの海の幸、全国区のB級グルメ「焼豚(やきぶた)玉子飯」といった、観光や食のコンテンツが充実している。

一方で市は、イメージ戦略に有力コンテンツを生かし切れず、菅良二市長は「人口流出が止まらない」と嘆く。近年は学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題で地名が報じられることが多く、全国的なイメージは必ずしも良好とは言えない。

そんな歯がゆい状況を打開しようと、市は2018年10月に「今治ブランド戦略会議」を設置。クリエーティブディレクターの佐藤可士和氏を総合監修に迎えて、認知度や求心力を高めるための取り組みを始めた。佐藤氏はかつて海外ブランド依存で苦境に陥った今治タオルを、独自の品質ルールやロゴ設定など、産地ブランド化で復活に導いた実績がある。

戦略会議ではまず、これまでバラバラに発信していたコンテンツに一体感を持たせようとキャッチコピー「I.I.Imabari!(アイ・アイ・イマバリ)」とロゴマークを設定した。

コピーは「今治にハマっています」を意味する英語「I'm into imabari」から考案した。マークは地元で人気の夏祭り「おんまく」の花火を鮮やかな赤、青、黄色で表現した。

佐藤氏は「今治に関わる全ての人が担い手となる『共創型今治モデル』のシンボルとして、輪のようにめぐって大きなムーブメントとなるように願いを込めた」と説明する。

共創型プロジェクトの第1弾として3月、今治タオル工業組合の運営する「今治タオル本店」(今治市)にカフェを開業。農産物直売所「さいさいきて屋」(同市)とコラボして、期間限定のスイーツ「しまなみロール」を販売した。

地元産のキウイやイチゴ、ミカンを使用し、スポンジ生地や白い皿でタオルを表現。国内外から訪れるタオルファンに「食」にも興味を持ってもらうことが狙いだ。同組合の井上裕基理事長は「今後も連携を広げて地域全体の盛り上げにつなげたい」と強調する。

戦略会議は市内の各イベントでロゴマークを掲げ、サイクリングと食のコラボとして、パリの自転車大会ゆかりの菓子「パリブレスト」を参考に、「今治ブレスト」を開発し、市内の飲食店での提供を始めた。

地方都市としては珍しい、地域一丸となったブランド化の取り組み。サッカーFC今治オーナーで元サッカー日本代表監督の岡田武史氏ら、地域ゆかりの著名人も賛同する。おんまくの花火のようにプロジェクトが大輪の花を咲かせるかは、一般の市民を含めた、より多くの関係者を巻き込めるかがカギを握りそうだ。(棗田将吾)

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