2019年6月16日(日)

企業年金、加入延長の議論本格化 働くシニア増加に対応

経済
2019/4/22 20:00
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企業年金について、加入期間の延長を求める意見が広がっている。厚生労働省は22日開いた審議会の部会で経団連などの聞き取り結果をまとめ、将来の年金額を約束する確定給付型企業年金に加入できる年齢を75歳まで延ばす案などを主な意見とした。公的年金は少子化で先細りが避けられない。厚労省は長く働く分だけ保険料を払って将来の年金額を増やす仕組みに変える。

厚労省は3月、経団連や連合、全国銀行協会などからの聞き取りを実施した。同省がまとめた主な意見では加入年齢の引き上げの必要性を強調。22日に開いた社会保障審議会の部会でも高齢者の就労が進んでいることを踏まえ、経済界の委員から「確定拠出年金の加入可能年齢の引き上げを検討してほしい」と改めて言及があった。厚労省はこれに基づき、具体的な制度設計に入る。

日本の公的年金は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てが基本だ。この公的年金に私的年金を上乗せする。私的年金には確定給付型と、加入者が自ら運用手法を決める確定拠出型の2つがある。

確定拠出型の加入年齢は60歳まで。経団連や企業年金連合会、全銀協などが足並みをそろえ、引き上げを求めた。根本匠厚労相も引き上げに前向きで、65歳まで加入できるようにする。

一方で確定給付型は大企業に多く、加入年齢は70歳までだ。厚労省は会社員の加入する厚生年金の加入年齢を70歳以上に延ばすことを検討している。75歳が有力な延長案だ。確定給付型も75歳まで加入できるようになれば、将来もらえる年金額は増える。

年金の加入期間を長くするのは働く高齢者が増えているためだ。60~64歳の就業率は18年平均で、68.8%。10年前に比べ、約12ポイント上がった。65~69歳は46.6%で約10ポイント上昇した。内閣府の調査では3人に2人は65歳を超えても働きたいと希望しており、高齢者の就業はさらに進む見通しだ。

英米では確定拠出年金の加入できる年齢が日本よりも高い。米国は上限がなく、英国は75歳だ。60歳代の就業率は米英よりも日本の方が高い。加入期間の延長は国際的にも自然な流れだ。

高齢者の主な収入となっている公的年金は今後、少子高齢化で先細りが避けられない。実質的な支給水準(所得代替率)は14年時点の63%程度から、40年代には50%程度に下がる見込み。一方、長寿化は進んでおり、補完役として企業年金の拡充は欠かせない。

企業年金では節税を目的に一時金での受け取りが多く、年金として機能を果たしていないとの指摘がある。22日の部会では「受取時の税金が複雑だ。厚労省でシミュレーターを用意してはどうか」との意見があった。

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