トキハ、別府店に演劇場や足湯 15億円投じ刷新
夜9時まで営業

2019/4/22 17:00
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大分県の老舗百貨店トキハ(大分市)は別府店(別府市)を全面刷新する。「コト消費」路線を前面に出し、大衆演劇場や足湯、フィットネス施設を新設するほか、地下に地元産品を味わえるフードコートを設ける。投資額はテナント側も含め、計15億円。中高年や家族連れのほか、訪日外国人(インバウンド)の集客につなげる。同店の売上高目標を現状の4割増の70億円に設定している。

地下1階に足湯を設け、観光客や地元住民を誘致する

地下1階に足湯を設け、観光客や地元住民を誘致する

別府店(地上8階、地下1階)は9月に改装オープンする。ヘルス&リゾートが新コンセプトで、文化教室がある8階とオフィスが入居する6階以外を改装する。一部店舗を除き、営業時間を午後9時までと従来より2時間延長する。

体験型目的で来店してもらうための目玉施設が7階に新設する大衆演劇場。百貨店としては珍しい常設舞台で1日2回の上演を予定する。中高年層の来店頻度を高め、別府市を訪問する外国人客にも日本文化の一端を味わってもらう場とする考えだ。

大屋根に覆われている地下1階のテラス部分には、敷地内にある泉源を生かした足湯を設け、家族連れや旅行客へ開放。地域イベントの実施も歓迎するという。地下1階では地元食材などを味わえる屋台風のフードコートをオープン。同社は「古き良き別府の街並みがイメージできる店舗にしたい」としている。

現在のトキハ別府店は1988年10月の開業から30年を過ぎた(大分県別府市)

現在のトキハ別府店は1988年10月の開業から30年を過ぎた(大分県別府市)

健康志向の高まりで顧客の定期的な来店が見込めることから5階にはフィットネスとヨガのスタジオを新設。1階には県産品の土産コーナーや近隣客向けのドラッグストアやコンビニエンスストアが出店する。

別府店の売上高は現在50億円弱ほどで、販売は伸び悩んでいる。トキハの2019年2月期の売上高は前の期比0.7%減の593億円、営業利益は24.5%増の約5億円だったが、別府店で約23億円の減損処理を実施し、約18億円の最終赤字となった。

池辺克城社長は今回の改装効果で「別府店の売上高は4割増の70億円になる見通し」と話す。また別府店に入居するテナントの売上高構成比は従来の46%から60%に高まる。トキハ本体のオペレーションコストが下がるため、収益力も高まる見通しという。

トキハは開業30年を過ぎた別府店の全面改装に踏み切った。池辺克城社長に狙いを聞いた。

池辺社長は「大衆演劇など『面白い体験』を打ち出せばリアル店舗に客足が戻る」と話す

池辺社長は「大衆演劇など『面白い体験』を打ち出せばリアル店舗に客足が戻る」と話す

――コト消費を打ち出しました。

「楽しく過ごせるショッピングセンターを目指す。コト消費の一歩先にあるのは『面白い体験』だろう。それを提供すればインターネットではなく、リアル店舗に消費者は足を運ぶはず。例えば大衆演劇なら、中高年だけでなく、外国人客も楽しんでもらえるのではないか」

「経営環境は厳しいが退店を選ぶのではなく、新規投資を決断した。17年に別府市を訪れた観光客は880万人。このうち外国人は33.5%増の約60万人だ。ホテルの開発投資も増え、街のポテンシャルが上がったと判断した」

――地場百貨店の強みは。

「ポイントカードなどの加入者は約33万人で、売上高の75%を占めている。人口約48万人の大分市にある百貨店としては健闘しているのではないか。顧客には健康や趣味の充実など心地よいソリューションを徹底して提供する」

――トキハ本店(大分市)の前には食をテーマとした「大分オーパ」が開業し、競争が激しくなります。

「歓迎だ。JR大分駅の若者向けファッションビルも含め、個性が異なる大型店舗が集中することで大分中心市街地の買い回り客が増え、活性化を促す効果がある」

「トキハ本店は店舗内にゆとりある個室を作り、購入した食事を味わいつつ、ちょっとした仕事をする人のニーズに応える『ぜいたくな個室』はどうかといった新規プロジェクトを推進している。従来の百貨店にはない試みが必要だ」

(聞き手は大分支局長 奈良部光則)

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