揺れる南欧財政 イタリア国債、金融機関の保有2倍に
世界金融 危機の芽どこに

2019/4/23 21:22
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イタリアなど南欧の国債が欧州の金融システムを揺るがしかねないとの懸念がくすぶる。2018年にはイタリアの財政問題で国債金利が上昇(債券価格は下落)する場面があり、今も財政不安は消えない。欧州の銀行は南欧の国債保有を積み増しており、市場の不安に火がつけば銀行資本を毀損する恐れがある。

イタリアの財政不安はなおくすぶる(2019年予算案の採決時、閣僚と握手するコンテ首相=左=、伊下院で)=ロイター

国際通貨基金(IMF)の集計によると、イタリアの金融機関の総資産に占める伊国債の割合は10%強に及ぶ。10年ごろは5%未満だったが、保有割合でみると2倍に高まっている。

国債はふつう安全資産とされるが、南欧は財政懸念から金利が急上昇するリスクが拭えない。IMFはユーロ圏の金融部門について「不良債権の削減措置がとられてきたものの、政府債務が高水準な国の国債利回りが急伸した場合、銀行の資産に重大な損失をもたらしうる」と指摘し、財政悪化と金融部門の劣化が共振しかねないとの懸念を示した。

実際、イタリアでは18年5月、政局不安もあいまって10年物国債の利回りが1%台後半から3%台へと急伸し、価格は1割以上、下落した。市場は銀行資本への影響も察知し、銀行株に強い下落圧力がかかった。

昨年末から金利上昇は一服しているが、財政不安は残る。同国政府は4月に19年の成長率予想を引き下げ、国内総生産(GDP)比の財政赤字が2.4%になるとの見通しを示した。欧州連合(EU)の欧州委員会と合意した2.04%を突破する。今のところ金利の上昇は限られるが、市場には「イタリアの債務は持続不可能」(バンクオブアメリカ・メリルリンチ)との警戒感もある。

もし国債金利が急上昇すれば銀行株が下落し、増資による資本増強が難しくなる。経済協力開発機構(OECD)は「財務の健全性を保つため、保有資産を売って資産を圧縮することを選びそうだ」とみる。

だが国債売却はさらなる債券価格の下落をもたらし、財政不安を一段と強める悪循環に陥りかねない。IMFは「経済成長を阻害する恐れがある」として財政健全化を急ぐよう訴えている。

(ニューヨーク=後藤達也)=随時掲載

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