ゴーン元会長を追起訴、特別背任罪 捜査は事実上終結へ
東京地検特捜部は22日、オマーンの販売代理店に支払った会社の資金の一部を自らに還流させたとして日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者(65)を会社法違反(特別背任)罪で追起訴した。起訴は4回目。「オマーンルート」の立件で特捜部による捜査は事実上終結し、対決の舞台は法廷に移る。

弁護人は22日に、東京地裁に保釈を請求した。
起訴状によると、ゴーン元会長は2017年7月~18年7月、日産子会社「中東日産会社」(アラブ首長国連邦)からオマーンの販売代理店「スヘイル・バウワン・オートモービルズ」に計1000万ドルを送金させ、うち計500万ドル(約5億5500万円)を元会長が実質保有する預金口座に還流させたとされる。

元会長の不正をめぐる起訴は今回が最後となる見通し。ただ、検察幹部は「すべての不透明な支出の解明に至っていない」としており、公判に向けた証拠の収集は今後も継続する。資金はゴーン元会長の妻や息子が関与する会社にも流れたとされ、特捜部は中東各国や米国に関係者の聴取などで捜査共助を要請している。
裁判所は当初、9月に初公判を開く意向だったが、裁判日程は不透明だ。追起訴で事件が複雑になったほか、弁護人は法人としての日産などと裁判を分離するよう求めており、初公判が大幅に遅れることも想定される。
日産はゴーン元会長に損害賠償を求める方針。元会長の不正を防げなかった日産経営陣も株主らから民事上の責任を追及される可能性もある。

日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。
関連企業・業界