2019年6月27日(木)

ドル約2年ぶり高値うかがう 新興国通貨は選別進む
FRB利上げ停止も米景気底堅く

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2019/4/21 20:24
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【ニューヨーク=後藤達也、サンパウロ=外山尚之】外国為替市場でドルが約2年ぶりの高値に迫っている。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを停止したのにもかかわらず、ドルへの資金流入が続く。米景気は内需を中心に底堅く、中国や欧州との比較から「消去法」で米国が浮上する構図だ。トルコやアルゼンチンなど一部の国では再び通貨の下落圧力が強まるなど、新興国の間でも選別色が出てきた。

トルコはエルドアン政権の対米関係の悪化も通貨リラ売りを誘う(演説するエルドアン大統領)=AP

インターコンチネンタル取引所が算出するドル指数は18日に97.40となった。あと0.2%上昇すれば、2017年6月以来、1年10カ月ぶりの高値となる。ドル指数はユーロや円など主要通貨の総合的な価値を示す指標だ。個別通貨に対しても1ユーロ=1.12ドル程度、1ドル=112円程度と、ドルは今年の高値近辺で取引されている。

FRBは19年に入り、利上げを休止する方針に転じ、3月には年内の利上げを見送る姿勢を示した。市場では当初、米長期金利がこれまでのように上がりにくくなり、金利差に着目したドル買いが減ってしまうとの見方が多かった。

だが、ここに来て米景気の相対的な強さが目立つ。雇用や賃金が堅調で、一時不調が伝えられた個人消費も失速懸念は薄らいだ。一方、中国は景気対策をテコに底入れの域をうかがうものの、減速感はなおぬぐえない。欧州や日本は景気の減速感が強まっている。

欧州中央銀行(ECB)は3月に年内の利上げを断念し、欧州の長期金利は米国以上に下がった。米利上げ停止による他通貨との金利差縮小の観測は高まらず、マネーが米国に向かいやすくなっている。

18年前半に比べると、ドルの上昇ピッチは緩やかだ。市場では「米景気にもリスクはあるが、世界では最も堅調で、消去法的にドルを買う動きが続いている」(外為ディーラー)との声がある。ドル高によって新興国全体から資金が抜け出す事態にはつながっていない。「高金利の新興国通貨は上がりやすくなっている」(モルガン・スタンレーのハンス・レデカー氏)との指摘もある。

だが、トルコやアルゼンチンなど政治や経済の情勢が不安定な国の通貨は再び下落圧力が強まっている。

アルゼンチンの通貨ペソは年明けからの約10%下落している。マクリ大統領は開放経済を掲げたが、昨年からの景気低迷で支持率は低迷している。改革の後退懸念からペソは売られ、輸入品の値上がりを通じてインフレ率が上昇し、支持率が下がるという悪循環を断ち切れずにいる。

トルコの通貨リラも対ドルの年初来で約9%安となった。対ドルで約半年ぶりの安値水準にある。前週には、外貨準備が不十分との市場の不安から大きく下落する場面があった。エルドアン政権による対米関係の悪化もリラ売りを誘っている。

18年はFRBの利上げ継続を背景に新興国通貨の下落が目立った。19年の年初は利上げの停止で新興国通貨の全体に上昇期待が高まったものの、二極化が進みつつある。

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