デジタル貧困5.4億人 人の価値、AIがはじく
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膨大な情報を活用するデータエコノミーが広がり、あらゆる価値を数字で表す社会が訪れた。人工知能(AI)が信用や将来性を測るスコアリングという技術が、埋もれた価値を発掘する。一方、デジタル化により主要国の働き手の6人に1人の5.4億人が新たな貧困に陥るとの予測も出た。データがはじく運命の数字は、正と負の両面をのぞかせる。
2018年秋。ベトナム・ホーチミンの会社員ジョディエ・ツイさん(26)は月給の...

データ資源は21世紀の「新たな石油」といわれる。企業や国の競争力を高め、世界の経済成長の原動力となる。一方、膨大なデータを独占するIT(情報技術)企業への富と力の集中や、人工知能(AI)のデータ分析が人の行動を支配するリスクなど人類が初めて直面する問題も生んだ。
連載企画「データの世紀」とネット社会を巡る一連の調査報道は、大きな可能性と課題をともにはらむデータエコノミーの最前線を追いかけている。